【J2「昇格候補激突」】清水、17歳MFの圧巻の“股抜きクラブ史上最年少ゴール”が決勝点で首位堅持(1)

J2の首位を走る清水エスパルスの秋葉忠宏監督  撮影/中地拓也

■乾不在でも清水が先制!

「超攻撃的」が、上位対決を制した。

J2リーグ第11節が4月20日に行なわれ、首位の清水エスパルスは5位のベガルタ仙台をホームに迎えた。清水は勝点22で、仙台は勝点17である。J1昇格争いの行方に影響を及ぼす「6ポイントマッチ」だ。

清水はMF乾貴士がメンバー外だった。秋葉忠宏監督はトップ下に代わりの選手を置くのではなく、システムに手を加えた。いつもの4-2-3-1ではなく4-4-2とし、FW北川航也とMFカルリーニョス・ジュニオを2トップに置いたのだ。右MFにはルーカス・ブラガが、左MFには矢島慎也が入る。矢島は2試合ぶり2度目の先発だ。

試合序盤の清水は、DFラインから前線へロングボールを入れていった。仙台が前線から規制をかけてくることを見越したものであり、それによってショートカウンターを受けるリスクを減らす意図もあったはずだ。さらには、カルリーニョス・ジュニオと北川のキープ力にも期待したのだろう。

16分の先制点は、まさにそんな形から生まれた。CB高橋祐治が前線へロングボールを蹴り出す。カルリーニョス・ジュニオがエアバトルに競り勝ってボールを落とすと、ルーカス・ブラガが引き取った。そのままフリーで抜け出す。GKとの1対1から左足を振り、冷静にゴールネットを揺らした。カルリーニョス・ジュニオは174センチだが、空中戦にも意外なほど強い。彼の2トップ起用が鮮やかにハマった。

1点を先制した清水は、カルリーニョス・ジュニオ、ルーカス・ブラガ、北川が中心となり、縦への推進力がある攻撃を展開していく。彼らは相手の圧力を受けても簡単にボールを下げず、相手のプレスをはがすか前方へパスをつなぐ。それによって両サイドバックも攻撃に関わり、厚みのある攻撃が繰り出されていった。

後半に入った54分には、2点目を奪い取る。右SB吉田豊が、マッチアップする左MF相良竜之介に食いつき、MF長澤和輝にボールをスイッチした瞬間にカットする。DFラインの背後へ動き出した北川へスルーパスを通すと、クラブ生え抜きの主将が魅せた。

ペナルティエリア内まで持ち込み、追いすがる相手CBを内側への切り返しでかわす。左足へ持ち直して、ゴール左スミへ冷静に流し込んだのだった。

■17歳西原がクラブ最年少弾!!

今シーズンの清水は、先制した試合で6勝1分、ホームで3勝1分の成績を残している。エース北川が2点目をあげたことで、勝利がぐっと近づいてきたが、65分に失点してしまう。選手交代で攻撃のギアをあげてきた仙台にやや押し込まれ、清水の秋葉監督も69分と72分に2枚替えをする。72分の交代をきっかけにシステムを3-4-2-1に変更し、81分には北川からFWドウグラス・タンキにスイッチして攻撃的な姿勢を強める。

そして迎えた84分、途中出場のMF西原源樹がペナルティエリア内左から右足でゴールネットを揺らす。右SB、ボランチ、右CBの中間でパスを受け、クラブ史上最年少となる17歳4か月4日でリーグ戦初得点をゲットした。ボールを受けた瞬間に前へ持ち出し、迫る相手を股抜きでかわして、すぐにシュートモーションに入り、コントロールされたシュート。素晴らしい得点だった。

清水はこのまま3対1で試合を終わらせたいが、後半アディショナルタイムに失点をしてしまう。シーズン3度目の3得点で勝点3を奪い、3連勝を達成したのは評価できるが、終盤の失点はもったいない。J1自動昇格圏でフィニッシュするには、失点を減らしていく必要がある。リードした後の失点が「悪い習慣」にならないためにも、ディフェンスの意識をいま一度引き締めるべきだ。

試合後の秋葉監督は「こんなにハラハラするんだったら、もっとスッキリ勝ちたかったですけど、相手も必死に最後の最後まで諦めずにやってきました。それ以上の走力とかクオリティ、仙台さん相手に3点取って見せた選手、スタジアムの空気感、すべてが素晴らしかったです」と振り返った。

次節は2位のファジアーノ岡山とのアウェイゲームだ。またしても重要な試合となる。次節からはゴールデンウイークの連戦ということも踏まえて、指揮官は「去年もそうですけど、ここから連勝が伸びないことが多い。ここからは総力戦になると思っていますから、全員の力を持って、必ず大型連勝したいと思っています」と、語気強く語った。

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