生活費を【Vポイント経済圏】にするといくら還元される? どんな人がお得に使えるか調べてみた

系列のサービスを複数使うことで共通のポイントが貯められる「経済圏」。

2024年、そんな経済圏に新たな風を巻き起こしそうなのがSMBCグループ(三井住友フィナンシャルグループ)が手がけているポイントサービス「Vポイント」です。Tポイントと統合してVポイントとなり、規模の拡大が予想されます。

今回は、Vポイントの特徴とお得な貯め方を確認したうえで、どんな人がお得に使えるのかを見ていきましょう。


VポイントとTポイントが統合して「青と黄色のVポイント」へ

Vポイントは、三井住友銀行や三井住友カードの利用に応じて貯めることができます。そして、貯まったVポイントは支払いやポイント投資などに活用できます。

2024年4月22日、このVポイントがTポイントと統合して「青と黄色のVポイント」になります。名前のとおり、Tポイントの「T」の字が「V」になったようなデザインになっています。会員数は単純合算で1億4600万人。

楽天経済圏、PayPay経済圏、docomo経済圏、au経済圏、イオン経済圏といった既存の経済圏のポイントサービスを超える規模です。

既存のVポイント・Tポイントは2024年4月22日以降自動的に「青と黄色のVポイント」に変わります。すでにお持ちのVポイントやTポイントは以後も変わらず利用可能。VポイントとTポイントを両方持っている方は、4月22日以降に「VポイントとTポイントとのID連携」を行うことでVポイントとTポイントを合算することができます。VポイントとTポイントのID連携をしないと、利用できるサービスが制限されてしまうので、手続きしておきましょう。

ポイントの有効期限はサービスにより違いがありましたが、VポイントとTポイントの統合後は「最終変動日から1年間」となります。これにより、既存のポイントの有効期限が短くなるケースもありますが、Vポイントが付与されたり、Vポイントを利用したりすることでポイントが変動すれば、有効期限はその時点から1年間に延長されます。定期的に利用していれば有効期限は気にしなくてよくなりそうですね。

Vポイントはどうやったら貯まる?どこで使える?

Vポイントを貯める方法には、大きく分けて三井住友カードを利用する方法と、Oliveフレキシブルペイを利用する方法の2種類があります。

●三井住友カード
三井住友カードは、三井住友フィナンシャルグループ傘下のクレジットカード会社、三井住友カードが発行するクレジットカードです。カード券面にカード番号・有効期限・セキュリティコードなどの情報が記載されている通常タイプと、それらの情報が記載されていない「NL(ナンバーレス)シリーズ」があります。カード番号などの情報は三井住友銀行アプリでいつでも確認できます。これから三井住友カードを作成するのであれば、セキュリティ面でより安心なNLシリーズのほうがよいでしょう。

三井住友カードのNLシリーズには、「三井住友カード(NL)」「三井住友カード ゴールド(NL)」「三井住友カード プラチナプリファード」の3種類があります。

<三井住友カードNLシリーズのクレジットカード>

●Oliveフレキシブルペイ
Oliveは、お手持ちのスマホを利用して自分のお金の情報が管理できるサービス。「Oliveアカウント」というアカウントを利用することで、銀行・クレジットカード・ネット証券・保険などの情報を一元管理できます。

Oliveアカウントを開設すると、「Oliveフレキシブルペイ」というクレジットカードが発行されます。Oliveフレキシブルペイのクレジットカードには、NLシリーズと同様「一般」「ゴールド」「プラチナプリファード」の3種類があります。

NLシリーズとOliveフレキシブルペイの特典面はよく似ています。
上の表で違うところといえば、

・Oliveフレキシブルペイの国際ブランドにはMastercardがない
※NLシリーズの「プラチナプリファード」にもMastercardはない
・Oliveフレキシブルペイには「選べる特典」がある
・Oliveフレキシブルペイのほうが「Vポイントアッププログラム」のポイント還元率アップの対象が多い

といったところです。

Oliveアカウントを契約すると「選べる特典」をもらうことができます。選べる特典は、次の4つがあります。

①給与・年金受取特典:三井住友銀行で毎月3万円以上を振込で受け取るとVポイント200ポイント(年間2400ポイント)

②コンビニATM手数料無料:毎月1回無料

③Vポイントアッププログラム:還元率+1%

④利用特典(選択月末時点の三井住友銀行の口座残高が1万円以上):Vポイント100ポイント

Oliveフレキシブルペイ一般とゴールドの場合は1つ、プラチナプリファードの場合は2つ選べます。2つは重複も可なので、たとえば③のVポイントアッププログラムを2つ選べば、対象のコンビニ・飲食店での決済のポイント還元率をさらに2%アップさせることもできます。

Vポイントは、アプリを活用することで日々の買い物に使うことができます。TポイントがVポイントに統合される2024年4月22日以降も、TカードやTポイントアプリを利用してこれまで貯めたTポイント(=新Vポイント)を使うことができます。Tポイントアプリはアップデートすることで「Vポイントアプリ」に変更され、新たにVisa加盟店でも利用できるようになります。

またVポイントもこれまでと同様「Vpassアプリ」「Vポイントアプリ(アップデートで「VポイントPayアプリ」になる予定)」「三井住友銀行アプリ」といったアプリで1ポイント=1円で使用できます。

Vポイントを賢く貯めるテクニック

三井住友カードやOliveフレキシブルペイを普段使いするだけで、Vポイントが賢く貯められます。その方法を一挙紹介します。

●対象のコンビニ・飲食店で最大7%ポイント還元
三井住友カードやOliveフレキシブルペイの通常の還元率は0.5%(プラチナプリファードは1%)となっていますが、対象のコンビニ・飲食店でタッチ決済をすることで最大7%のポイント還元を受けることができます。具体的には、

・クレジットカードでのVisaのタッチ決済またはMastercardタッチ決済
→利用金額200円(税込)につき5%ポイント還元
・スマホでのVisaのタッチ決済またはMastercardタッチ決済
→利用金額200円(税込)につき7%ポイント還元

となっています。

主な対象コンビニ・飲食店には、セブンイレブン、ローソン、マクドナルド、すき家、サイゼリア、ガスト、ココス、はま寿司、ドトールなどがあります。

●家族を登録していると最大+5%還元
対象のコンビニ・飲食店を利用する際、あらかじめ家族を1人登録するごとに+1%ポイントが加算されます(家族は最大9人登録できますが、ポイントは+5%還元が上限)。もちろん、家族カード会員が利用した場合にも同じ還元率が適用されます。また、登録している家族同士でVポイントを分け合うことができます。

●Vポイントアッププログラムで最大+8%還元
Vポイントアッププログラムは、対象のコンビニ・飲食店利用時のポイント還元率が対象サービスの利用状況によってアップするサービスです。

<Vポイントアッププログラムのポイント還元率アップ条件>

Oliveアカウントを利用した場合のほうが多くのサービスで還元率アップの対象になっています。ただし、仮にすべての条件を満たしても、還元率は最大で+8%です。

また、ここまで紹介した「対象のコンビニ・飲食店で最大7%ポイント還元」「家族を登録していると最大+5%還元」「Vポイントアッププログラムで最大+8%還元」の条件を多数満たして還元率の合計が20%を超えても、還元率の上限は最大で20%です。

●Tポイント提携店でポイントの二重取り
これまでTポイントの提携店だった店舗では、モバイルTカードを提示し、三井住友カードやOliveフレキシブルペイで決済すると、1回の決済でTポイントとVポイントの二重取りができました。Vポイントへの統合後も同じ手続きでポイントの二重取りが可能。しかもどちらもVポイントが貯まるようになるので、ポイントが分散せず使いやすくなります。

●チャージするだけで0.25%ポイント還元
三井住友カードやOliveフレキシブルペイから「Vポイントアプリ」「Visaプリぺ」「かぞくのおさいふ」といったチャージ機能のあるアプリにチャージすると、0.25%のポイント還元が得られます。

●「ココイコ!」でポイントアップ
「ココイコ!」は事前にエントリーした対象ショップで三井住友カードやOliveフレキシブルペイを利用して買い物をすることでポイント増量やキャッシュバック特典が得られるサービスです。ポイントアップ率は店舗により異なりますが0.5%〜1.5%。事前にエントリーしておけば、あとは決済するだけで自動的にポイントアップが適用されます。

●「学生ポイント」で最大+9.5%
三井住友カードやOliveフレキシブルペイを申し込む際に職業を「学生」とした方は、学生ポイントを得ることができます。学生ポイントの対象会員なら、
・対象のサブスクリプションサービスの支払いで、ポイント最大+9.5%還元
・対象の携帯料金の支払いで、ポイント最大+1.5%還元
・QRコード決済(LINE Payのチャージ&ペイ)のお支払いで、ポイント最大+2.5%還元
・分割払い手数料全額ポイント還元
の特典が受けられます。

●SBI証券の「クレカ積立」を活用する
SBI証券では、三井住友カードやOliveフレキシブルペイを利用したクレカ積立が可能です。クレカ積立をすると、金額に応じてVポイントが貯まります。
クレカ積立の還元率は、
・三井住友カード(NL)、Oliveフレキシブルペイ一般…0.5%
・三井住友カードゴールド(NL)、Oliveフレキシブルペイゴールド…1.0%
・三井住友カードプラチナプリファード、Oliveフレキシブルペイプラチナプリファード…5.0%
となっています。

ただし、2024年11月積立分以降は三井住友カード・Oliveフレキシブルペイの年間利用額に応じてポイント還元率が変わるようになり、最大でも3.0%までとなる点には注意が必要です。

<SBI証券のクレカ積立の還元率※2024年11月買付分以降>

一般カードやゴールドカードの場合、年間カード利用額が10万円未満だとポイント還元がなくなることに注意しましょう。

●「Vポイントでんき」で3%のVポイントがもらえる
Vポイントでんきは三井住友カード会員を対象にした電力サービス。Vポイントでんきを利用することで毎月の電気料金(消費税や燃料費調整額などを含めた合計額)から3%分のVポイントが還元されます。

生活費を「Vポイント経済圏」にするといくらお得になる?

ご参考までに生活費を「Vポイント経済圏」にするといくらお得になるのか試算してみました。

総務省「家計調査報告」(2023年平均)によると、二人以上の世帯の消費支出は1世帯当たり1カ月平均29万3998円です。

計算をわかりやすくするために「食料」はすべてスマホのタッチ決済7%対象店舗で購入したものと仮定しました。また、「電気」はVポイントでんきを利用した場合、「ガス・水道・その他光熱」「家事・家事用品」「被覆及び履物」「交通・通信」「教養娯楽」「その他の消費支出」はすべて三井住友カードまたはOliveフレキシブルペイを利用して決済したものとして計算しています(特定の日・店舗で得られる割引を考慮していません)。

<Vポイント経済圏でお得になる金額は?>

Vポイントの還元額の合計は6874円となりました。一目瞭然で、スマホのタッチ決済による7%還元の効果が大きいことがわかります。

もちろん、実際には食料をすべて対象のコンビニ・飲食店で購入することはないでしょう。しかし、ここでは家族登録による最大5%のポイント還元や、Vポイントアッププログラムの最大8%のポイント還元は考慮せずに計算しています。これらの還元率アップがあれば、対象のコンビニ・飲食店での還元額も多くなります。

とはいえ、「食料」以外の費目では還元率があまり高くありません。他の経済圏の場合、ガス代や通信費でポイント還元が高いケースがありますし、他の費目でも二重取り・三重取りによって還元率を高くできるケースがほとんどです。

今のところ「Vポイントでんき」の還元率が3%で、他の経済圏と同等レベルです。それ以外の費目では他の経済圏と比べやや劣っている印象です。

以前書いたこちらの記事もご参考ください。
楽天、PayPay、ドコモ…ポイント経済圏はどう選ぶべき? 自分に合うところを見つける方法

Vポイントがお得に使える人は?

以上を踏まえると、Vポイントがお得に使える人は次のような人です。

・コンビニや飲食店をよく利用する人

・家族が多い人

・学生

・これまでTポイントを利用してきた人

Vポイントの強みは最大20%のポイント還元にあります。普段使いのコンビニや飲食店などで高い還元率を得られれば、それだけVポイントが貯まりやすいですし、Vポイントを活用しやすくもなります。

また、これまでTポイントを利用して貯めてきた人も、Vポイントを利用するために三井住友カードやOliveフレキシブルペイを利用することで、今後はVポイントをお得に貯めることができます。これを機に、戦略的に三井住友カード・Oliveフレキシブルペイを利用してみてはいかがでしょうか。

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