警報機・遮断機なし「第4種踏切」千葉県内84カ所 過去に死亡事故、対策急務 住民の理解必要、費用も課題

京成電鉄の鬼越ー京成中山間の第4種踏切(手前)=2020年9月、市川市高石神

 群馬県高崎市の警報機と遮断機のない「第4種踏切」で小学4年の女児が電車にはねられ死亡した事故を受け、千葉県内の鉄道会社も遮断機設置などの対策を検討している。県内でも第4種踏切で死亡事故が発生しており対策は急務だが、費用面などで課題が残っている。

 県によると、県内には1日時点で84の第4種踏切がある。鉄道会社別でみると、小湊鉄道が最多の48カ所、JR線11カ所、いすみ鉄道10カ所、貨物専用の京葉臨海鉄道7カ所、銚子電鉄4カ所、流鉄3カ所、京成電鉄1カ所となっている。

 国土交通省関東運輸局によると、県内では2018~22年度の5年間に、第4種踏切で11件の事故があった。JR千葉支社によると、管内では16年に南房総市、18年に館山市(いずれも内房線)で死亡事故が発生した。同支社は自治体と協議し、第4種踏切を廃止したり、遮断機と警報機のある「第1種踏切」に切り替えたりして、14年に23カ所だった第4種踏切が現在は半減している。

 小湊鉄道(市原市)の踏切は、全98カ所中48カ所が第4種。同鉄道は「第4種は全て第1種にしたい」と方針を掲げており、3月6日には、同市馬立の下沖田踏切に遮断機と警報機を設置した。ただ、第1種に切り替えるには沿線住民の理解が必要になり、維持費用もかかるため残りの改良は進まない状況だ。

 同鉄道の沿線の大部分を占める市原市は群馬の事故を受け、同鉄道と支援方法などの情報共有を進めている。市交通政策課の担当者は「踏切ができた経緯なども踏まえ、鉄道会社や地域住民と話し合いを進めないといけない」と話した。

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