レストラン「ファン・ダルクオーレ」(群馬・高崎市) 3年連続でフランスのガイド紙に掲載

3年連続となる「ゴ・エ・ミヨ」掲載を鈴木さんに報告する(右から)星野さん、富岡さん、接客を担う星野実記さん

 中国料理とイタリア料理の融合をコンセプトにした群馬県高崎市竜見町のレストラン「ファン・ダルクオーレ」が、ミシュランと並ぶフランスの飲食店ガイド「ゴ・エ・ミヨ」に3年連続で掲載された。オーナーシェフとして腕を振るい、希少がんのため昨年亡くなった鈴木伸朋さん(享年39)の料理への情熱を引き継いで営業を続ける中での吉報に、関係者は「恩返しになる」と喜んでいる。

亡きシェフに吉報報告

 同店は、前橋市内でイタリア料理店を営んでいた鈴木さんと、高崎市内で中国料理店を展開する星野弘明さんが2021年に開いた。「ほかの店にはない料理を出そう」とダブルシェフ体制で腕を振るってきたが、鈴木さんは闘病の末、昨年8月に帰らぬ人となった。

 意気消沈する中でも、現実を受け止めようと店を営む中での一報。「やったぞ。鈴木君、取れたよ」と報告し、東京都内で開かれたパーティーには鈴木さんの遺影と共に参加した。

 料理に加え、料理とドリンクのペアリング、接客など総合的な部分が評価につながったという。「掲載されてほっとした。今回も鈴木君と営業していた時と同じ点数を維持できた」と星野さんは実感を込める。

 紹興酒でマリネしたミニトマトとチーズを使った鈴木さんの遺作「分解・再構築したカプレーゼ」をはじめ、2人で考えたメニューは今も店の名物だ。鈴木さんに師事し、右腕として前橋市内のイタリア店時代から多くの時間を共にしてきた富岡由香里さん(43)は「繊細な味付けと華やかな見た目の料理の裏に、何十時間と手間を惜しまないこだわりを見てきた。そこは崩さずに意識したい」と前を向く。

 現在、新しい融合料理を考案している。長年支えてきた富岡さんが知る鈴木さんの料理の記憶を呼び起こしながら、これからも新しい一皿を構築していく。

 「予約の電話から見送りまで」を総合的に評価するゴ・エ・ミヨは、1972年にパリで創刊された。日本では2017年から発刊されている。24年版は全都道府県で532店が選ばれ、県内では同店、白井屋ザ・レストラン(前橋市)、ヴェンティノーヴェ(川場村)が掲載された。

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