世界耐久第2戦イモラ、小林可夢偉が猛追するポルシェを抑えきりトヨタ今季初優勝

by 編集部:谷川 潔

優勝したTOYOTA GAZOO Racing 7号車のドライバー。左から、ニック・デ・フリース選手、小林可夢偉選手、マイク・コンウェイ選手

トヨタが今季初優勝

WEC(世界耐久選手権)第2戦イモラ6時間レースがイタリアのイモラサーキットで4月19日~21日(現地時間)の3日間にわたって開催された。2023年のシリーズチャンピオンであるTOYOTA GAZOO Racingは、第1戦は6位と9位。ライバルであるフェラーリの地元ではあるが、ここイモラのでの勝利が待ち望まれていた。

6時間の決勝レースは4月21日にスタート。TOYOTA GAZOO Racingの2台、GR010 HYBRID 7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース)は予選6位、8号車(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)は予選8位と、一発の速さでは詰め切れなかったものの、決勝レースでは雨が降ったりやんだりという荒れた天候の中、チーム力においてポジションを上げた。

フェラーリと激しく争うGR010 HYBRID 7号車

とくに7号車 小林可夢偉選手は、最終スティントを完璧なドライブで担当。燃料をマネジメントしながら1秒差以内まで猛追する6号車 ポルシェ 963(ケビン・エストレ/アンドレ・ロッテラー/ローレンス・バンスール)を抑えきり、トップでゴールを駆け抜け見事トヨタチームを今季初優勝に導いた。

8号車も予選順位から上げ、最終ラップでフェラーリに抜かれたものの、5位でフィニッシュした。

小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)

とてもタフなレースで、本当に驚くべき勝利です。われわれのGR010 HYBRIDはこの週末最速ではありませんでしたが、チームが素晴らしい仕事をしてくれました。マイクとニックも最高の走りで、上位争いへとポジションを上げて私にバトンを託してくれました。私の担当スティントでは、雨の中スリックタイヤで首位を守らなくてはならなかったので、最初から大変なプレッシャーとなりました。ウェットタイヤへ交換したわれわれの判断は的確で、後続との差を広げることができ、その後もウェットタイヤでよいペースを維持できました。最後のスティントは、燃料が最後までもつか確信が持てなかったので、燃料セーブに全力を尽くしました。本当に大変でした。優勝を争えたのは、戦略面でもチームが本当に素晴らしい仕事をしてくれたおかげです。最高の仕事をしてくれた皆に感謝しています。

マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)

最後まで本当に緊迫したレースでした。可夢偉は最後、燃料をセーブしながら首位を守るという、素晴らしい仕事を成し遂げました。いつものように彼はプレッシャーを跳ねのける走りで、走っていた彼の心拍数よりもピット内で見ていた私の心拍数の方がきっと高かったのではないかと思います。ニックのスティントも見事でした。私が担当したスタートでは、混乱に巻き込まれることなく、上位を目指しました。ここイモラでの、私にとって初めてのレースは最高に楽しかったです。ピットクルーの作業は素晴らしく、戦略もこれ以上ないほどよかったです。チームとトヨタの全員でこの勝利を祝いたいと思います。

ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー)

私自身、久しぶりに表彰台の中央に立つことができて最高の気分ですし、チームメイトとそれを共有できたこともうれしいです。可夢偉とマイクと一緒に同じクルマで戦って勝てたことは本当にうれしいですし、誇りに思います。彼らと、チームみんなの最高の仕事に本当に感謝しています。全ての戦略が的確で、全てのスティントで力強く走ることができ、誰もミスすることなく走り抜いたことで驚きのパフォーマンスを示せました。全員が完璧なレースを戦った結果で、真に勝利に値すると思います。

セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)

見事なパフォーマンスで勝利を飾った7号車、おめでとう。カタールでの戦いからここでの勝利へと導いた、素晴らしい復活劇です。われわれの8号車にとっては難しいレースとなってしまいました。私は8番手からのスタートでしたが、追い抜きが難しい中での戦いを強いられました。それでもポジションを上げていき、表彰台を争い、最終的に5位でフィニッシュできました。満足いく結果ではありませんが、チームにとっては素晴らしい1日でしたし、われわれも次戦スパでは力強く上位争いに加われるよう努力を続けます。

ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)

フェラーリのホームコースでの優勝を果たしたチームに、最高の祝福を贈ります。フェラーリの方が速いことは明らかでしたが、7号車は適切なタイミングで適切なカードを切って、見事な走りでトップフィニッシュを果たしました。われわれ8号車にとっては厳しい1日でした。表彰台まであと一歩でしたし、ここでのレースは最高でした。私の最後のスティントは、燃料をセーブしながらの走りを強いられ、ファイナルラップでポジションを落とすことになってしまったのは悔しいです。最終的な結果は望み通りではありませんでしたが、チームのパフォーマンスは素晴らしかったです。

平川亮(8号車 ドライバー)

優勝した7号車のみんなと、表彰台の中央に返り咲いたチームを祝福します。勝てるとは誰も想像していなかったと思いますが、チームが素晴らしいパフォーマンスを発揮し、クルマから全てを引き出してくれました。チームがこの好結果を達成できたことはとてもうれしいです。われわれ8号車は、ファイナルラップで4位を失うことになったのが少し残念ですが、レースでは起こり得ることですし、この悔しさをバネにして、次戦ではもっと強くなって戻ってこなくてはなりません。

次戦は、5月9日~11日にベルギーで開催されるスパ・フランコルシャン6時間レース。そして、第4戦が6月12日~16日にフランスで開催されるル・マン24時間レースになる。

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