渋くてかっこいい! 歴代『ガンダム』で主人公相手に善戦した「局地戦用MS」の魅力

バンダイのプラモデル『HGUC 1/144 MS-07B3 グフカスタム (機動戦士ガンダム 第08MS小隊)』

『ガンダム』シリーズで主人公が乗るガンダムタイプのモビルスーツ(以下、MS)は汎用性に優れており、宇宙・地上・水中などあらゆる場面で活躍してきた。しかし、そんなガンダムタイプとて苦しめられるシーンはある。そのひとつが、特化型のMSを相手にしたとき。つまり、局地専用MSとの戦いだ。

主人公側が属する陣営にも局地専用MSは存在するが、今回は敵陣営において主人公を苦しめた局地専用MSを3機ピックアップ。その活躍を振り返ってみよう。

■地上で獅子奮迅の活躍!死するも敗北はなし

最初に、『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』にて、敵エースであるノリス・パッカードの乗機として登場する「グフ・カスタム」を紹介しよう。その名前のとおり、ジオン公国軍の機体であるグフのカスタム機だ。

本作は「ニュータイプ」の概念が一切登場せず、基本的には地球での本格的な戦争を描いている。「ジオン公国軍初の局地専用MS」とされたグフ・カスタムは、地球での近接戦闘で他の追随を許さない活躍を見せている。

そもそも局地とは「限られた区域」のこと。もともと宇宙空間やコロニーでの使用を想定したモビルスーツとは違い、地球環境に適した、限定的なエリアでの運用を想定したMSを指す。原型となったグフは格闘戦に強い設計だったが、武装が固定化されていたことで汎用性に劣っていた。それを解決するためにカスタムされたのがグフ・カスタムだ。

本作ではノリスの実力も相まって、連邦軍に大打撃を与える。たった1機で連邦軍の部隊を相手に立ち回り、結果的に量産型ガンタンク3機を撃破、長距離兵器を沈黙させたのだ。主人公シロー・アマダとの一騎打ちで撃破されたものの、その鬼神のごとき戦いぶりはシローに「負けた」と言わせるほどだった。

■砂漠で主人公を追い詰める!四足タイプのMS

続いて紹介するのは、砂漠で活躍を見せた「ラゴゥ」。『機動戦士ガンダムSEED』に登場し、その機動力でストライクガンダムを追い詰めた機体で、砂漠で駆け回ることを想定しているためか、四足タイプで見た目は動物そのもの。コクピットは2人乗りとなっており、「砂漠の虎」の異名を持つアンドリュー・バルトフェルドをメインに、砲手にバルトフェルドの恋人・アイシャが座して戦った。

ラゴゥは同コンセプトの機体・バクゥの上位機種。スラスターを増設して運動性向上を実現し、対MS戦を想定して、近接武器も追加されている。また、前述のとおりコクピットは複座式で、各パイロットが操縦と砲撃に専念できる。砲撃でけん制しつつ撃ち漏らした敵に接近、近接戦闘を仕掛けられる機動性を最大の特長としている。

本作では、主人公キラ・ヤマトが乗るストライクガンダムと交戦。フェイズシフトダウンを起こすまで追い詰めた。ラゴゥと下位機種であるバクゥは四足であるがゆえに、地上の複雑な地形でも高い機動性を発揮する。これはガンダムを始めとする二足のMSでは不可能だ。

さらに、脚部を折りたたむことで無限軌道(キャタピラ)の形態へ変化。砂漠のような不安定な地形をものともしない。砂漠を縦横無尽に動き回る姿は、局地専用MSそのもの。人型ではないデザインも含めて、ファンに大きなインパクトを与えた。

■水陸両用MSと言えばコレ!ジムを一突きにするパワー

『ガンダム』シリーズでは、水中戦も鉄板のシーン。とりわけ敵勢力の水中型MSといえば、ユニークなデザインが多く、ファンも多い。そんな水陸両用MS人気の火付け役と言えるのが、『機動戦士ガンダム』に登場した「ズゴック」だ。

ずんぐりとした見た目とアンバランスな腕部の大きさで、兵器でありながら「かわいい」という声もあるほど人気のズゴック。実際は、ガンタンクの砲撃に耐えるほどの装甲を有していたり、MSをあっさりと貫くアイアン・ネイルを装備していたりと機体性能は高い。特に、アイアン・ネイルは完全な物理兵器。ビーム兵器でもなければ、ザクが装備するヒートホークのような熱式でもない。ビーム兵器も熱式の兵器も水中では威力が半減するため、アイアン・ネイルのような完全物理に極振りした近接兵器が採用されたと考えられる。

さらに、丸みを帯びた独特のフォルムは、水中航行における水の抵抗を考慮したものだろう。作中でも頭から突進するようなスタイルで、水中を進軍する様子が描かれた。また、頭部には240mmロケット弾を装備しており、水上に頭部を現して対空攻撃を可能とする。最小限の動作で攻撃でき、作中でもホワイトベースの底面を攻撃するなど連邦軍を追い詰めていた。

作中の活躍でいえば、やはりシャア専用ズゴックが印象深い。その機動性とアイアン・ネイルを武器に、ジムを一突きにするシーンはあまりにも有名だ。さらに数話にわたって登場するなど、ほかの水陸両用MSと比べて活躍の機会は多く、名機であることがわかる。

なお、ズゴックは『機動戦士ガンダムZZ』で骨董品扱いされており、主人公ジュドー・アーシタが一時的に搭乗する。アッガイに乗ったハマーン・カーンとの戦いが描かれているため、ファン必見の名シーンと言える。

基本的にガンダムタイプのMSは高い汎用性がウリ。そのため、敵陣営はなにかに特化したMSで挑むことも多い。そういう意味では、局地専用MSは環境特化型のMSと言える。

今回紹介した以外にも、宇宙専用のMSや空中専用のMSもあり、いずれも一筋縄ではいかない強敵揃い。主人公を「あと一歩」というところまで追い詰めるシーンも多いため、その渋さ・強さにあらためて注目してもおもしろそうだ。

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