【葬儀のマナー】通夜、葬儀、告別式の違いとは?50代から心得ておきたい冠婚葬祭の常識

年を重ねると、訃報に接することがふえてきます。大人だからこそ、決まりごとを知って、きちんと見送りたいものですね。まずは仏式の場合の通夜、葬儀・告別式の流れを見直しておきましょう。現代礼法研究所主宰の岩下宣子さんに教えてもらいました。

こちらもあわせてどうぞ。

通夜、葬儀、告別式の違いは?

通夜、葬儀、告別式の違いがわかりますか? 「葬儀」「葬式」などとひとくくりにしがちですが、実はそれぞれ、本来の目的は違います。

通夜

午後6時ごろから行われます。遺族と近親者、親しい友人などが集まり、故人との別れを惜しみます。

葬儀

通夜の翌日昼間に行われます。故人が生きている人にお別れをする儀式です。

告別式

葬儀のあとに行われます。遺族、近親者、故人にゆかりのある人が、故人に別れを告げる儀式です。

現在は、葬儀と告別式を分けずに行うようになっています。

時間が許せば、葬儀・告別式に参列を

友人や仕事関係の場合は、内輪の集まりである通夜より、正式な別れの儀式である葬儀・告別式に参列するのが、本来のあり方です。

しかし最近は、昼間行われる葬儀・告別式よりも、夕方からの通夜のほうが参列しやすいことから、通夜に訪れる人が多くなりました。親しい間柄だったのなら、通夜と葬儀・告別式の両方に参列します。

葬儀・告別式のあとは出棺まで見送る

葬儀・告別式が終わると最後の対面をし、棺に花を入れ、遺体を飾ります。最後の対面が終わると棺にふたがされます。

一般会葬者も、出棺まで見送るのが故人に対する礼儀です。会場の外で静かに待ちますが、コート類は着ていてよく、いよいよ出棺のときは脱いで手に持ちます。

喪主または親族代表の出棺あいさつのあと、霊柩車が動きだしたら合掌し、ていねいに頭を下げて見送り、そのあと、静かに退出します。

なお、火葬場への同行や遺骨迎え(還骨法要)の出席を打診されたら、できるだけ受諾します。遺族からの打診がないのに、自分から火葬場への同行を申し出るのは控えましょう。

仏式の通夜の進行例

では、ここで、最も一般的な仏式の通夜の進行例を見ておきましょう。以前は夜を徹して故人と接していましたが、最近は夜更けまでには終了します。

到着

開始時間の10分前には到着しましょう。コート類は脱ぎ、大きな手荷物があれば、一緒に預けます。預けるところがなければ、式場に持ち込みます。

受付

受付ではまず「このたびはご愁傷さまでございます」と、一言お悔やみを述べます。

香典をふくさからとり出し、ふくさを軽くたたんで台がわりにし、「御霊前にお供えください」と先方に向けて差し出します。

記帳

記帳の必要があれば行います。香典を託されている場合は、その人の名前も書き、左下に小さく「代」と添えます。名刺盆があるときは名刺でもかまいません。

受付担当者に一礼し、式場へ向かいます。

僧侶入場・読経・焼香

開始15分前には喪主をはじめ遺族、近親者、世話役代表などは着席し、僧侶の入場を待ちます。

僧侶が入場し、祭壇の前に座り、読経し、焼香します。

喪主以下、遺族・参列者が席順に焼香します。弔問客が多いときは、読経の途中から焼香を始めることもあります。

僧侶退席

焼香のあと、僧侶による「法話」「説教」がある場合もあります。

喪主のあいさつ

僧侶が退席したあと、喪主が遺族を代表して弔問客にあいさつします。

通夜ぶるまい

通夜ぶるまい(通夜のあとの飲食)は、弔問に対するお礼とお清め、そして故人の供養のために設けられるものです。誘われたら、遠慮せずに席につくのが礼儀です。

ただし、withコロナでは、通夜ぶるまいの席を設けないケースも少なくありません。もし席があっても、葬儀社の指示に従い行動しましょう。宴席ではないので、故人との関係ない話題に夢中になったり、笑い声を立てたり、酔っぱらっての長居は厳禁です。退席するときは、周囲の人に「お先に失礼します」と述べて、静かに退席します。

仏式の葬儀・告別式の進行例

一般に午前中から始まり、午後には終わることが多いようです。一般会葬者は出棺まで、親族は骨揚げまで同行します。

到着・受付

通夜と同様のマナーです。通夜に参列している場合、葬儀の受付では「昨日お参りさせていただきました」と述べましょう。

僧侶の入場・開式の辞

僧侶が入場します。着席後、司会者が開式のあいさつをします。

一般会葬者の焼香

遺族は会葬者のほうに向き、焼香をすませた会葬者に黙礼します。

僧侶退場

退場する僧侶を頭を下げて見送ります。

喪主のあいさつ

喪主か親族代表が、簡単に会葬のお礼を述べます。このあいさつを省き、出棺時のあいさつだけのこともあります。

閉式の辞

司会者が閉式の辞を述べます。司会者は一般会葬者に「出棺の用意ができますまで、しばらくお待ちください」などと案内します。

※この記事は『50代からの冠婚葬祭きちんとマナー』岩下宣子監修(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。

※2023年8月19日に配信した記事を再編集しています。


監修者
現代礼法研究所主宰 岩下宣子

共立女子短期大学卒業。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流の小笠原清信氏のもとでマナーを学ぶ。1985年、現代礼法研究所を設立。多数の企業や公共団体などでマナーの指導、研修、講演、執筆活動を行う。NPO法人「マナー教育サポート協会」理事長。『美人のことば練習帖』(三笠書房)、『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(KADOKAWA)、『書き込み式おつきあいを大切にする安心メモリー帖』(池田書店)、『冠婚葬祭マナーの新常識』(主婦の友社)など、著書、監修書多数。

© 株式会社主婦の友社