公取委が米グーグルに行政処分、広告配信制限の疑い

Ritsuko Shimizu

[東京 22日 ロイター] - 公正取引委員会は22日、米グーグルに対し、独占禁止法に基づき行政処分を出した。デジタル広告の配信でヤフーの取引を一部制限した疑いがあり、グーグルは改善計画となる「確約計画」を提出。公取委はこれを認定した。

グーグルがヤフーに対し、2014年に行った契約変更によりモバイル端末で必要な検索エンジン、検索連動型広告に関する技術の提供を制限。これにより、ヤフーは7年にわたってモバイル・シンジケーション取引を行うことが困難になっており、公取委では、独禁法上問題となる恐れがあるとして、2022年から審査を行ってきた。

モバイル・シンジケーション取引とは、利用者がある商品を検索した場合、検索サイトなどの広告枠に検索連動型広告を配信するもの。

グーグルは、すでに違反の疑いがある行為を取りやめている。また、公取委が事前に承認した場合を除き、ヤフーに対して、モバイル・シンジケーション取引に必要な技術の提供を制限しないことなどを含む改善計画を提出した。外部専門家の監督に基づく監査の実施などコンプライアンス体制の整備も行う。グーグルは、履行状況を定期的に公取委に報告する。

確約手続きは行政処分のひとつで、実効性が認められて認定されれば、課徴金納付命令や排除措置命令が出されることはない。確約計画の認定は、独禁法の規定に違反したことを認定したものではない。

巨大IT企業を巡っては、欧米の競争当局も厳しい姿勢を示している。公取委も、20年9月に独禁法違反(優越的地位の濫用)の疑いがあったアマゾンジャパンの確約計画を認定。21年9月には米アップルがアプリを提供する事業者の事業を妨げていた疑いを巡って確約計画を認定している。

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