中国東北部の設備製造業大手、「新たな質の生産力」の形成を加速

中国東北部の設備製造業大手、「新たな質の生産力」の形成を加速

 【新華社ハルビン4月22日】中国黒竜江省は東北地区でも長い歴史を持つ工業基地であり、産業安全保障や国家経済と人民の生活に関わる設備製造企業が多数ある。設備製造企業はここ数年、デジタル技術とスマート設備の応用が進む中、技術革新や製品開発などで一連の新たな進展を収めており、構造転換や高度化、質の高い発展を推進している。

 黒竜江省工業情報化庁のデータによると、同省はこれまでに省レベルのスマート工場14カ所とデジタル化された生産場265カ所を育成。これらの企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)の高度化により、生産効率が20%以上向上し、生産コストは20~30%削減され、製品の開発サイクルは30%以上短縮された。

 技術革新は、「新たな質の生産力」(科学技術イノベーションが主導し、質の高い発展を促す生産力)を推進する核心的要素になる。東北地域の大手設備製造業企業は、数十年にわたる科学技術イノベーションの蓄積とコア技術の難関攻略に立脚し、新たな質の生産力の発展の源泉になる力を注入している。

 中国が完全に独自の知的財産権を持ち、国家科学技術重要特別プロジェクトに指定されている華能石島湾高温ガス炉原子力発電所が2023年末、商業運転を開始した。これは中国が第4世代原子力発電技術の分野で世界をリードするレベルに到達したことを示している。中でも「原子力の肺」とされる高温ガス炉の蒸気発生器は、ハルビン電気集団が大学や研究機関と協力して開発した機器で、2400枚を超える設計図に基づいて製造された「国の重要な宝」といえる。

 同集団は、中国の発電設備製造業の「ゆりかご」として、科学技術イノベーションを核心的な駆動力に新たな質の生産力の形成を加速させ、新型エネルギー貯蔵や太陽熱発電、海洋プロジェクトなど新分野を開拓し続けている。

 同省ハルビン市の大型アルミ加工企業、東北軽合金は、国産大型航空機の翼板材開発に成功した。同社の張栄旺(ちょう・えいおう)総経理は、23年のハイエンド合金の生産量が前年比16.8%、売上高が9.9%それぞれ増加し、共に過去最高を更新したと述べた。

 市には現在、中国航空工業集団(AVIC)傘下のハルビン飛機工業集団、中国航空発動機集団(AECC)傘下のハルビン東安発動機、東北軽合金の3社を中心に、業界の基幹企業と関連企業100社以上が集積しており、ハルビンの航空機器イノベーション型産業クラスターは、中国科学技術部によって国家レベルのイノベーション型産業クラスターに位置付けられている。

 黒竜江省社会科学院経済研究所の孫浩進(そん・こうしん)所長は「東北部には新たな質の生産力を発展させるための蓄積と優位性がある」と述べ、東北部の大手設備製造業企業は技術水準が高く、多くの国家的な重点プロジェクトや任務を達成した経験があり、新たな質の生産力に焦点を当てることで、これらの企業により強くより優秀でいっそう成長するチャンスをもたらしているとの見方を示した。(記者/強勇、朱悦) 

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