県高校野球26日開幕 「飛ばないバット」影響は 上越地域の監督ら攻守の形、戦術面に変化

新基準の低反発金属バットで練習する関根学園の部員

高校野球が変わるかもしれない。新基準の金属バットに移行し、県内各チームは練習や練習試合で使用している。3月の選抜大会では本塁打が3本(うち柵越えは2本)と金属バット導入後最少となり、「飛ばない」が実証された。県内でも26日開幕の春季大会から公式戦で使用される。攻守への影響、戦術面の変化などを上越地域の監督らに聞いた。

◇旧基準よりも直径3ミリ細く

新基準のバットは直径約64ミリ、金属部分の厚み約4ミリで、旧基準よりも直径が3ミリ細く、金属部分が1ミリ厚い。バットの反発性能が抑制されている。投手ら守っている選手たちの安全対策が考慮され、低反発で打球速度が抑えられている。

昨秋県3位の関根学園は、3月下旬の関西遠征から新基準のバットを試合で試している。「選抜大会を見て1、2回戦は外野手がすごく前進していて、野球が変わると思った」と話す安川巧塁監督(32)だが、実際に使った印象は「芯に当たれば飛ぶ」。上がったフライは伸びないが、ライナー性の打球はむしろ飛ぶとも感じている。バントの打球の勢いも殺せるとし、犠打はしやすくなったという。

外野守備は当初は前に出していたが、頭を越されることもあったため、現在は定位置に。前にチャージをかける意識を植え付けている。「後ろの打球でも最後まで追いかければ捕れると選手は話している」。有利になるとされる投手はインコースをより突きやすくなったとみている。

◇芯捉えれば飛ぶ ライナー性意識

昨秋大会の4番、右翼手の篠原颯太選手(3年)は「詰まったり、先っぽで捉えた打球は失速する。上がった打球も伸びないので、ライナー性を意識している。守備では頭を越える打球は減ったが、左中間、右中間を抜ける打球が多いので注意したい」と話す。

昨夏秋の大会で連続ベスト16の糸魚川は、昨秋の大会後から練習で取り入れてきた。佐藤学監督(43)によると、当初は対応が難しかったが、徐々に慣れてきたという。「丁寧に打って、機動力を生かして丁寧に攻めていきたい」と同じ言葉を繰り返し、より基本に忠実な形を意識する。

守備はケースバイケースとするが、外野守備は以前より若干浅め。投手陣は攻めて投げている感覚だとし、「ストライク先行でいきたい」と話す。

◇外野守備難しさ ロースコア予想

昨秋ベスト16の高田農・安田吉則監督(56)は、外野手の守備について「芯に当たった時の打球音があまりないので判断に迷う。前に出たら、思ったよりも伸びてきたということがあった」と指摘する。外野手は前寄りの守備が多くなることが想定され、攻撃面で二塁走者が安打1本でかえることが難しく、「一死三塁の形をつくろう」と意識しているという。

投手については「前のバットだと詰まっても長打になったが、それが減り、恐怖心も減っていくのでは」とメリットを挙げた。

昨夏ベスト8の高田北城・牛木晃一監督(53)も「芯に当たれば飛ぶ」と同様の受け止めを示し、守備面で「強いゴロで内野の間を抜きづらい。ショート、セカンドの守備力が問われる。前や横の打球をいかにアウトにできるか。守備機会は増える」と変化を指摘する。

試合は「ロースコアの展開が増える」とみて、「公立校でもいいピッチャーがいるチームは有利」と勝ち抜く要素を示している。

今春の大会で各チームがどんな戦術を取ってくるのか、打力が売りだったチームがどう攻めてくるのか、注目される。

反発性を抑えた新基準の金属バット

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