2週連続Vの女子ゴルフ・竹田麗央の強さの秘密とは

家族思いが伝わるシーンだ。優勝杯を手に緊張を隠せないキャディーの兄・有男を心配そうに見つめる竹田麗央=21日、川奈ホテルGC(撮影・開出牧)

 家族思いの21歳だ。2週連続Vを果たした女子ゴルフの竹田麗央(21)=ヤマエグループHD=だ。

 21日に静岡・川奈ホテルGCの18番グリーンで行われたフジサンケイレディスクラシック最終日の表彰式後の撮影だった。キャディーを務めた兄の有男さんと一緒に優勝杯を手に、おびただしいフラッシュを浴びた。カメラマン一人一人に目線を配り、笑顔を見せるという“非日常”に緊張を隠せない兄を心配そうに見つめていた。

 今回のキャディーは、兄の有男さんが買って出たという。ゴルフ経験はないが、野球で鍛えた体がたくましい。小さいころから妹をかわいがり、面倒を見てきたお兄ちゃんだったのだろう。ラウンド中、力になりたいという思いが、ゴルフバッグを担ぐ姿から伝わってきた。

 初日から妹の表情は固かった。「兄の方が緊張していました」と試合後の記者会見で振り返ったが、ゴルフ経験のない兄から的確な指示を仰げるはずもななく、コースマネジメントはすべて自分でやるしかなかった。ようやく笑みがこぼれたのは、2位と3打差で最終日の18番グリーンに上がった時だった。そして、ウイニングパットを決めると、会心の笑みを浮かべながら、キャディーを務めた兄とタッチを交わした。

 信頼していなかったら、2週連続Vのかかった大事な一戦でキャディーを任せたりはしないだろう。ゴルフはメンタルスポーツと言われる。コースマネジメントよりも大切なもの、すなわち戦うためのメンタリティ。家族思いが、一つのモチベーションになったのではないだろうか。ファインダー越しにそんなふうに思えた。(デイリースポーツ・開出牧)

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