W杯史上最年少銅メダル 張本美和選手(15)活躍のワケ 次はパリ五輪へ…「過去にないくらい中国に近づいている」

マカオで開催された、卓球ITTF男女ワールドカップ(W杯)。
張本美和選手が15歳10カ月の女子W杯史上最年少で銅メダルを獲得しました。
卓球王国・中国に迫る勢いの日本。パリ五輪で日本は中国から、金メダルを奪うことができるのでしょうか?

張本美和選手の強さ

張本選手はベスト16で世界ランク3位の王芸迪(おうげいてき)選手と対戦し4-1で勝利。ベスト8では世界ランク10位のプエルトリコのディアス選手と対戦し4-1で勝利。準決勝は世界ランク2位の王曼昱(おうばんいく)選手と対戦し惜しくも2-4で敗れましたが、女子史上最年少で銅メダルを獲得しました。

そんな張本選手の活躍について、卓球の元日本代表で2012年のロンドン五輪団体銀メダルの平野早矢香さんに聞きました。

――この結果はどれくらいすごいことなのでしょうか? 平野早矢香氏:
まずワールドカップは初めての出場だったわけですよね。そこで格上の選手2人を破り、かつ、中国のトップ選手を破ってのこの結果ですから、すごく価値があると思いますし、今年はオリンピックもありますので、そこにつながる試合になったと思います。

張本選手はなぜ格上の相手をここまで苦しめることができたのでしょうか?平野さんによると、大きく2つの理由があるといいます。

1つ目は「レシーブの種類が増えたこと」。海外選手が張本選手の動きを読みにくくなったということです。2つ目は「ラリーの対応力」。中国選手の強く正確な返球に対し、打ち負けることが少なくなったといいます。

――どんなトレーニングを積んで張本選手は中国選手と張り合えるレベルにまでいったのでしょうか? 平野早矢香氏:
今年2月に世界選手権団体戦があって、日本は惜しくも2-3で敗れたのですが、その時張本選手はレシーブに課題があって、中国の選手に対しては少しミスが出たりとか、先手を取られるパターンが多かったんです。それが今回の試合に向けてはその反省を元にいろんな種類のレシーブをすることによって相手を前後左右に揺さぶって、待ちにくくさせたというか読みにくくさせたというのがひとつありますし、後はラリー戦での打ち合いですよね。クロスに打つのが基本なんですけども、張本選手はストレートに打つのがすごくうまいので、ストレートに打つボールが非常に多くて質が高く、先手を取る場面が非常に多かったですね。

――クロスとストレートの違いは?
クロスの方が基本的に距離が長いので、ストレートに打とうと思うとちょっと力加減をしたりとか、体の角度を変えることによってコントロールしにくいんですけど、それが張本選手の場合はクロスと同じようにストレートで打てるというところで、相手が一歩遅れるというところがあります。

――2月の世界選手権から短期間で修正して今回の結果につながったということですが、張本選手はバランスや適応力が高い選手なのでしょうか?
もともと手先の器用さはあるんですけど、やはりオリンピックで勝つというところにすごくフォーカスして強化をしているので、自分のできないことをどんどん積極的に新しく吸収しようという気持ちがすごく強い選手ですね。

――各競技で若い選手が活躍する時代になってきていますが、卓球で指導方法が変わったりしているのでしょうか?
かなり小さい頃から世界の卓球というのを研究したり、目標の意識の高さも高いですけど、技術的なことも小さい頃からよく研究して、大人がやるような技を小さい頃から身につけていると思います。

――昔はそういう研究はあまりなかった?
目指しているところが、私たちの頃はオリンピックのメダルでしたけれども、今の子はオリンピックの「金メダル」というところにもう小学生の頃から変わっているなと感じます。

卓球王国・中国も日本に“危機感”

レベルが上がってきている日本の卓球界ですが、改めて、中国と日本のチームの実力差を見ていきます。

卓球女子世界ランキング1位から5位までは中国の選手です。日本は6位に早田ひな選手、9位に伊藤美誠選手、12位が張本美和選手、13位に平野美宇選手。この内、早田選手、張本選手、平野選手はパリ五輪内定選手となっています。
2000年以降の3大大会(シングルス・中国が参加した大会に限る)で金メダルはすべて中国。日本は銀メダル1回、銅メダル7回です。

平野さんによると、日本が中国に最も近づいた瞬間が、2023年の杭州アジア大会団体決勝だといいます。

平野早矢香氏:
日本は中国を相手に0-3のストレートで負けていますが、「ラリーに対応できていた」と思います。この試合に出場していた中国の陳夢選手も「日本とこれほどハードな試合をしたのは久しぶりだ」と話していました。

さらに、中国の日本に対する危機感の高まりにより、中国卓球協会でも動きがありました。

中国卓球協会は、日本に苦戦を強いられた2月の世界選手権後、「外国人選手に敗れた場合、選考に関わるポイントを減らす」という五輪出場選手の選抜ルール変更を発表。このルールを受けて、今大会ベスト16で張本選手に敗れた王芸迪選手が五輪出場不可能という報道も出ています。

――日本は中国に勝てそうですか? 平野早矢香氏:
過去にないくらい金メダルというか、中国に近づいている。私が現役の頃と中国との距離感全く違うので、特に女子団体女子シングルスに関しては中国を破って金メダルというのを私も期待しています。
(めざまし8 4月22日放送)

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