アルバイトやパートのシフトを自ら作っているコンビニオーナーは少なくないのでは? コンビニ7店舗を経営するフランチャイズオーナー、長瀬環氏によると「シフトの作成はパートやアルバイトに任せたほうがいい」と言い切ります。果たしてその理由とは? 長瀬氏による著書『儲かるコンビニのフランチャイズの教科書』(自由国民社)より一部抜粋し、フランチャイズビジネス全般における加盟店側の心構えや考え方を易しく紹介します。
経験者を採用する時こそ教育が必要
コンビニ経験者というのは意外と多いものです。
ほんの数ヶ月の経験の方もいれば、学生時代に長くコンビニでアルバイトしていた、という方もいらっしゃいます。
中には経験者が面接に来ると「即戦力!」と大した教育もせず、店頭に立たせるお店があります。
しかし、これは大間違いです。
経験者こそ教育が必要です。
教育は「知識の習得」と「意識の共有」です。
経験者は確かにレジ操作や検品・品出しなどの作業はできるでしょう。
どこでもやっている作業に関する知識はあるのかもしれません。
しかし、その習熟度は「経験者」といえども千差万別でしょうし、同じコンビニとは言っても、店舗やチェーンによってやり方が違うこともあります。
そのズレを直すためにも、知識の習得が必要です。
それを行わないと従業員間でのトラブルに繋がります。
「前のお店ではこうやってました」
「そんなのやったことありません」
こういった言葉も、既存の従業員を不快な気持ちにさせてしまいます。
従業員同士が気持ち良く働くためにも、自分のお店のルールを最初に教える必要があります。
シフトはパートさんに作ってもらう
どんな職種であっても店舗を経営する時のシフト管理というのは経営者の悩みのタネです。
メンバーの要望にあわせてシフトを考えるのは、とても時間のかかる仕事です。
時間をかけて作成しても、急に「シフトに入れなくなった」とかでオーナー自らがシフトの穴埋めをしなければならないなんてこともあります。
私自身もかつてはシフトを作成していました。だから、シフト作りの苦しみは十分理解しています。
「どうしてもここだけ穴が空いちゃうんだよな」なんてこともしょっちゅうありましたし、シフトが埋まらず28時間勤務したなんていう経験もあります。
シフト作成は重要な仕事です。
従業員がいないことには店舗が回りませんので、シフト作成がオーナーの仕事であるお店が多いでしょう。
実は弊社のシフト作成をしているのはオーナーでもなければ、その店を担当している店長でもありません。
パートやアルバイトの方に作成してもらっています。
主に勤務歴の長い、店舗の中心人物にお願いしています。
これには理由があります。
「シフト作成」をパート・アルバイトの人に任せるメリットとは
そもそも店舗経営はやらなければいけない仕事がたくさんあります。
発注・教育・売り場作りなど多岐にわたります。
実際にオーナー自らが全ての実務をやらないとしても、それを指示し管理することをしなければなりません。売り上げを稼ぐためにやらなければいけないことがたくさんあるのです。
では、売り上げを稼ぐという視点で考えた時にシフト作成というのはどれほどの重要性を持っているのでしょうか。
私はそれほど上位に来るものではないように思っています。
シフトに穴が空いては大変ですが、シフトが埋まったからと言って売り上げが上がるわけではありませんからね。
もちろんシフト作成にも、その時その時の戦力にばらつきのないように作る技術が必要です。
しかし、そういったことを伝えれば、勤務歴が長い店舗の主力になっている従業員であれば、シフトは組めてしまうでしょう。
また、オーナーがシフトを作成すると、雇用者が従業員のシフトを作るということになります。
そうするとオーナーが従業員に「お願いして入ってもらう」ことになりますし、アルバイトからすると「オーナーに言われて渋々シフトに入る」ということになります。
オーナーによっては頼むのが苦手な方もいたりして、自らがシフトのフォローをしたり、シフトの頼み方が問題となり、オーナーと従業員の間に軋轢を生んでしまうこともあります。
このシフト作成業務をパート・アルバイトの中から担当者を付けて行うと、作成する側もされる側も「同じパート・アルバイト」ということになります。
同じ目線で話が進みますので、「ここ空いてるからお願いできない?」「私がここ入るから変わってくれない?」など、オーナーから言われるのとパートから言われるのとでは同じことを伝えたとしても、受け手の感じ方が違います。
オーナーからだと高圧的に伝わる内容でも、同じパート・アルバイトから言われると助け合いの心からスムーズに事が進みます。
任命する人は誰でもいいというわけではありません。
人望がある方、例えば仕事ができて一目置かれている方や兄貴肌・姉御肌の方が好ましいです。
こんな方であれば、トラブルが起こりにくいです。
時には経験の浅い従業員同士をシフト組みしてしまうことも起こるかもしれません。
ただそういった時こそ、オーナーがシフトフォローをすればいいのではないでしょうか?
しかし、全てオーナー自身がシフトを作る手間と時間を考えるとそんなトラブルも小さなことに感じます。ぜひ一度試してほしいと思います。