魅惑的なパスサッカーをさらなる進化へ。C大阪が今季初黒星から学ぶ香川真司らを生かした攻撃力強化への道

[J1第9節]名古屋 2-1 C大阪/4月21日/豊田スタジアム

相手を見て柔軟にポジションを変える今季自慢の可変システムでボールを握りながら、チャンスを仕留め切れずに1-2で敗戦。しかも、警戒していたはずのセットプレーで2失点する悔しき形で、前節(8節)首位に浮上したC大阪は“鬼門”の敵地・名古屋で今季初黒星を喫し、町田に1位の座を明け渡した。

選手たちが口々に語るように、リズムよくボールを回すことはできた。しかし、ゴールは相手のミスを突きつつ、クロスからオウンゴールで得た1点のみ。

今季は接戦をよくモノにしてきたが、2点以上を奪ったゲームはなく、さらなるフィニッシュ面の力強さと質が求められることを実感したゲームであったとも言えるだろう。

4-3-3を採用するなか、前線の今季の顔である中央のレオ・セアラ、左のカピシャーバ、右のルーカス・フェルナンデスの“ブラジリアン3トップ”を名古屋戦でも揃えたが、さらなる攻撃面の向上へ、ポゼッションの軸となっている左SB登里享平はこう語る。

「ペナルティエリア内に入る人数を増やしていくことも必要で、(後ろで)5枚で回したりもしていますが、なるべく押し上げて、インサイドハーフ、FWの強みを生かして、ゴール前に人数をかけていけるように、そして後ろをもっと安定させられるようにやっていきたいです。

クロスにしても、“いつ”というタイミングも大事ですし、そのあたりはやれている部分もあるので、継続しながらよりフリーな選手を作ったりすることも必要だと感じます」

【動画】名古屋×C大阪のハイライト!!

その点では、4日前のルヴァンカップで戦列復帰し、名古屋戦では62分からインサイドハーフに投入された香川真司ら攻撃のタレントの生かし方で、さらなるプラスアルファも生み出せそうだ。

香川がピッチに入ってきた瞬間に、何やら手振り身振りを交えながらコミュニケーション取っていた登里はこうも説明してくれた。

「(真司くんは)相手を見てプレーできるので、自分もその立ち位置を見て、ポジションチェンジしていきたいと考えていました。そこは(自分がSBの位置から)ボランチ気味に入るのではなく、外に張ったりだとか、真司くんが組み立てて、前へ出ていく瞬間に入るだとか、そのへんのバランスは意識しています。

それに誰が入ってもそうですが、自由にストレスなくプレーできるように、そのへんの距離感などの調整は意識しています。そのうえで(真司くんは)やっぱり嫌なところに顔を出したり、ゴール前に入っていくところなど、あの時間帯で入ってチャンスをいくつも作っているので、ゴールにつなげられるようにもっとやっていければと思います」

前述のルヴァンカップの岩手戦では清武弘嗣も戦列復帰。名古屋戦には帯同しなかったが、攻撃面を彩る人材の生かし方は今後への鍵になりそうだ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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