■清水との上位対決で仙台は前半に失点
前半と後半で、まったく別のチームだった。
J2リーグで5位につけるベガルタ仙台は、4月20日に行なわれた第11節で清水エスパルスと激突した。
勝てば勝点差が「5」から「2」に縮まる重要な一戦に、森山佳郎監督は3試合連続で同じスタメンを選んだ。「良い守備を良い攻撃」へつなげる戦いが、確実に浸透してきているからだろう。
この日も前線からハイプレスを仕掛けた。ところが、16分にロングボール1本から失点をしてしまうのである。
仙台の強みはリーグ最少失点の堅守だ。ロースコアの攻防へ持ち込むのがこの試合のゲームプランだったはずだ。それだけに、早い時間帯の失点はチームにダメージを与えた。
その後も相手のビルドアップをけん制していくが、前からハメ込んでボールを奪う場面を作り出せず、FW中山仁斗と縦関係を作るFW中島元彦、2列目左サイドを担う相良竜之介らも、自陣へ下がらざるを得ない。
マイボールにしたあとも、慎重なパス回しが多い。短い横パスの連続で、相手の目線を変えられないのだ。得意のリスタートも右CK1本のみで、ロングスローも繰り出せなかった。前半は1本のシュートも記録できず、0対1で折り返すこととなる。
■後半は2点を奪ったものの…
後半も先手を取られた。54分、相良からボランチの長澤和輝への短いパス交換を狙われ、カウンターを食らう。そのまま決められてしまった。好調の相良は厳しくマークされ、持ち味を発揮できない。
2点を追いかける60分、森山監督が動く。右SB高田椋汰、MF工藤蒼生を下げ、右SB真瀬拓海とMF松井蓮之を投入する。この交代が劣勢を変えた。
65分、松井のパスカットからカウンターを発動する。3対2の局面で中島がドリブルで運び、ペナルティエリア手前からシュートを放つ。この一撃はGK権田修一に弾かれるが、セカンドボールを相良が収めて中島へつなぎ、背番号7がプッシュした。
ここからは狙いを持った攻撃を表現していく。今シーズン初出場となった真瀬の積極的な攻撃参加が、右サイドに優位性をもたらした。ビルドアップの局面で内側へ立ったり、ゴール前まで飛び込んだりする動きが、チームの攻撃を活性化していった。
しかし、83分に痛恨の失点を許してしまう。途中出場の清水MF西原源樹をペナルティエリア内でフリーにしてしまい、鮮やかなターンから決められた。
後半アディショナルタイムの90+3分、途中出場のMFオナイウ情滋が縦パスに反応して相手DFラインの背後を突き、ペナルティエリア内右から同サイドを破った。プロ2年目の背番号27が自身初ゴールを決めたが、仙台の反撃はここまでだった。
試合後のフラッシュインタビューに応じた森山監督は、「前半はいつもより消極的になってしまったかなというのが、すごく残念で悔しくて。後半はアグレッシブにできたんじゃないかなと。失点は自分たちのミスからと、やっぱり相手の個人の力は大きかったと思います。こちらも十分やれるところは示せたんですけど、なんで最初からやらなかったのか、今日はそれに尽きます」
次節はジェフユナイテッド千葉とのホームゲームだ。小林慶行監督が指揮するチームは、ここまで4勝2分5敗の12位だ。6位でプレーオフに進出した昨シーズンを受け、J1昇格候補にあげられているが、黒星が先行している。アウェイでの戦いでも勝点3がほしい状況だ。
次節について問われた森山監督は、「消極的なサッカーを見せるよりもガンガンいって、負けてもアグレッシブで、観に来てもらえたみなさんが何か心が打たれるようなサッカーをしたい」と話した。
次節からはゴールデンウイークの3連戦だ。シーズン前半戦の山場となる。今節の敗戦で5位から7位へ順位を落とした仙台にとっては、上位へ食らいついていくために負けられない一戦となる。