再会を喜ぶ笑顔 ひさびさの出店で笑顔 地域の桜まつりにぎわう 石川・珠洲市

能登半島地震で津波の被害を受けた石川県珠洲市宝立町で21日、地元の有志らが企画した桜祭りが開かれました。まだ営業することができない飲食店も参加し、会場には再会を喜ぶ住民らの笑顔があふれました。

珠洲市の宝立小中学校で開かれた「復興!宝立桜まつり」

採れたてのタケノコやサザエ焼き、名物のバウムクーヘンなど地元の味がずらりと並び、多くの人でにぎわいました。

訪れた人「友達とかといっぱいしゃべれて良かったです」「子どもたちも久しぶりにお休みに集まって遊んだりできるので、すごくありがたいなと思います」

元日の地震で、宝立町は激しい津波の被害を受けました。

町のシンボル、見附島が見える公園では、毎年地元の商店街が桜祭りを開いていましたが、多くの住民が市外に避難し、今年は開催が危ぶまれていました。こうした中、立ち上がったのは地元の有志たちです。

避難所部長・多田進郎さん「宝立町の人たちはいろんな場所で離れ離れになって、距離ができて、ひょっとしてそのことが心の距離にもつながっていくのかな?こういう機会をとらえて、是非一堂に介してまた『あんた元気やったけ?達者だったか?オラも達者やったよ』そういう声をかけながら、また宝立が一つに固まっていけば良いな、そういう思いでこういう祭りを企画しました」

祭りを企画した見附島観光協会の宮口智美さんは、自宅は全壊し今も避難生活を続けています。

宮口智美さん「イベント開催までの過程もすごくみんないきいきしてたんですよね。飲食店の方とか御菓子屋さんとかにもお話をしたら、それに向けて何作ろうかなと一生懸命考えてくれて、すごく前に進んでいるような感じがしました」

水が通っている場所で開催する必要があることから、今回場所を変えての桜祭りは大盛況。それぞれ30食が用意されたカニ丼やサザエ丼は開始から30分ほどで完売しました。

宮口智美さん「あっという間でしたね。カニが20分くらいで売れちゃいました。大盛り上がりですごくうれしいですね」

桜祭りの「名物」も復活です。

宮口智美さん「見附島のゆるキャラ「みつけたろう君」をかたどったお菓子ですね。(型を持っていた定食屋が)津波の被害にあわれてこの型もがれきの中から救出して今回作ることができました」

訪れた人「地震があって今年はないかなと思っていたんですけど、今年もやるっていうことで、こんな大変な時でも来ることができてすごくうれしいです」

出店者の中には、地震後初めて客と触れ合うという人も少なくありません。

出店者「人と人がふれあうことの重要性や経済活動の一歩というのはなかなか勇気もいるところですね。経済活動に発展したくてもできない方々が多すぎるので。それが結構なんていうかね、いろいろ思うところはあります」

宮口さんは、こうしたイベントを通して復興のカギとなる観光業の再建につなげたいとしています。

宮口智美さん「お店の方がいきいきと販売されている姿を見て、またお店をやりたいという思いになってくれたら良いなって後押しになったんなら良いなと思います。地域が元気になるイベントも仕掛けていけたら良いなと思っていますね。それが私の仕事でしたので」

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