「大雨が降った時 どうなるかがわからないので」 不適切な盛り土の安定性把握調査は秋まで継続 広島県が住民説明会で報告 広島市安佐南区上安町

広島市安佐南区にある、不適切な盛り土の安全性に関する調査結果が、住民に報告されました。広島県は、2024年秋まで調査を継続する方針を示しました。

地元の安公民館で行われた説明会には、住民らおよそ45人が参加しました。

広島市安佐南区上安町にある盛り土は、1998年ごろに県が把握したものの、当時の事業者も現在の所有者も「特定できない」状態となっていて、盛り土の一部には産業廃棄物の最終処分場が広がっています。

広島大学の調査によると、盛り土の総量は、3年前に土石流災害が起きた静岡県熱海市の盛り土全体の2倍を超えています。

県は、土砂災害を懸念する地元の声などを受けて2023年秋から実施したボーリング調査の結果、▽盛り土の構成材料が、土壌汚染の恐れがないものであったこと、▽盛り土の安定性を解析した結果、国の基準となる「安全率」を満たしていること
などを公表しました。ただし、この解析結果は、地下水位の観測期間中にあまりに雨が降らなかったため、暫定的なものだとしました。

広島県 森林保全課 白石勝也 治山担当監
「大雨が降ったとき、どうなるかというのがわからないので、今後、そういう雨が降ったときのデータを取って安定解析結果により判断することとします」

県は、引き続き2024年9月末まで観測を継続し、有識者の意見を取り入れながら、10月末まで再検証を行うとしました。

一方、住民からは、この安全率で示されている「大雨」の基準があいまいであることなどについて質問が相次いだため、県は引き続き説明会をすることを約束しました。

住民たち
「大切なのは雨が降らないときじゃなくて、雨がたくさん降ったときに、あの地下水がどうなって、そして盛り土がどうなるか、ということが一番知りたいんだよね。それに対しては(県は)ほとんど答えきれてない」

「自分たちはこの土地から逃げられない。転居するわけにいかないので、安心して安全に過ごせることをしてほしい、と。きょうはそれが、『あ、そうか、安心なんだ』というふうには思えませんでした」

上安産廃から安全安心を守る市民の会 坂本裕 事務局長
「『安全率』という、ふだん市民が使わない数字を用いて、『安全だ』とは言わずに、『国の基準は上回ってます』ということで、これで説明は終わりましたという雰囲気が漂っているのは非常に心配です。今度の本報告では、そういう報告を絶対してほしくないと思いました」

また広島市は、この盛り土に何らかの安全対策が必要となった場合には、土地所有者を特定するための調査をする、としました。

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