5年ぶり開催の物産展の初日に密着 開幕前日の大地震発生に販売員が来ない店や商品が届かない店も【トレンドいわて】

盛岡市のデパートで行われている物産展の舞台裏に注目しました。5年ぶりとなる「じゃじゃじゃグルメフェア」の開催には、催事担当者の熱い思いが込められていました。

4月18日に盛岡市菜園のカワトクで始まった「日本全国じゃじゃじゃグルメフェア」は、2015年から毎年春に行われてきた恒例の物産展です。新型コロナの影響で中止が続いていましたが今年は5年ぶりに開催され、会場では全国から出店した51の店が自慢のグルメを販売しています。

「じゃじゃじゃグルメフェア」開幕前日の4月17日、会場となるデパートの7階催事場には、出店者が集まり注意事項の確認が行われていました。今回の物産展を取り仕切るのはカワトク催事担当長の伊藤康平さん(52)です。

(カワトク催事担当長 伊藤康平さん)
「もう楽しみしかない。出店者さんも改めてそろうと皆さん気合い入れているし、いい店がそろったなという感じですよね」

出店者の中には、開幕の前日から仕込みを行う店も。

(出店者)
「これは砂肝を仕込んでいます。あしたの分を少しでも多く出せるように作ります」

一夜明けて、いよいよ5年ぶりとなる「じゃじゃじゃグルメフェア」開幕の日です。伊藤さんはいつもより早い午前6時に出勤しました。

(カワトク催事担当長 伊藤康平さん)
「天気もまずよかったので安心していますけど、ちょっと地震の影響ですね。宇和島の出店者さんもいますので」

午前7時過ぎには出店者が集まり始め、準備が本格化しました。

今回集まった51店舗のうち26店舗がこのイベント初出店です。その中の一つ、愛媛・宇和島市から来た安岡蒲鉾(やすおかかまぼこ)。開幕前日の4月17日の夜、愛媛では大きな地震があり宇和島市では震度5強を観測しました。

(伊藤さんと出店者のやりとり)
「じゃあ会社の方は今のところ大丈夫ね」
「今のところは大丈夫」
「何かあったらまた状況を教えてもらいいたい」

出店企業に大きな被害がなかったことに伊藤さんも胸をなで下ろしていました。

(リポート)
「時刻は午前9時を回りました。開店まで1時間を切っています。会場の出店企業の準備も佳境を迎えています」

これだけの数の店が集まると、準備は予定通りにいかないこともあります。開店まで1時間を切りましたが、実演販売する出店ブースの一つがまだがらんとしています。

(カワトク催事担当長 伊藤康平さん)
「来ていない人がいたので出店者の方で。寝坊してないか確認の電話をしなきゃな。まだね来ていないんですよ、販売員さん」

さらに山形の人気の豆菓子の売り場。そろそろ商品が届いてもよい頃ですが、こちらもまだ空っぽです。

(カワトク催事担当長 伊藤康平さん)
「たびたびすみません、伊藤です。どうです?(荷物)まだ来ていないですか?はいわかりました」

開店40分前。待っていた出店企業の担当者がようやく到着しました。さらに開店20分前には商品も届き無事に納品されました。

開店5分前。会場の外には長い行列が出来ていました。そして…。

「いらっしゃいませ、開店です」

開店と同時に大勢の人が訪れ、会場はあっという間に大にぎわい。試食をしたりお店の人と会話したりしながら買い物を楽しんでいました。伊藤さんは…。

(カワトク催事担当長 伊藤康平さん)
「こちらは赤福の列でございます。赤福ご利用のお客様は恐れ入りますが最後尾の看板からお並びください」

会場内を歩き回りながら買い物客や出店者の対応に追われます。息つく暇もありませんが、初日のにぎわいに嬉しそうな表情も見えました。

(出店者)
「(反応は)悪くないですね。リピーターの方もいるので上々です」

(カワトク催事担当長 伊藤康平さん)
「今はインターネットでなんでも手に入る時代にはなっているが実際に現地の販売員と話をしながら買うことができますよね。そういう人と人とのつながりというものも物産展の一つの魅力なのかなと思う」

そんな伊藤さんの思いが特に現れていたのが、開幕前日に地震に見舞われた愛媛・宇和島市の安岡蒲鉾のブースです。

(利用客)
「少しでも協力できれば。本当は向こうに行きたいんだけどそうもいないし」

(安岡蒲鉾 安岡一さん)
「宇和島大丈夫だった?という声をたくさん盛岡の人に言ってもらって本当に心配してもらってありがたかったなと感じた」

午後7時。じゃじゃじゃグルメフェアの初日は、大きなトラブルもなく無事に営業を終えたことで伊藤さんも安堵した様子でした。

(カワトク催事担当長 伊藤康平さん)
「朝早くからたくさんのお客さんに足を運んでいただいて、改めてこのグルメフェアの期待の大きさを感じて、おかげさまで非常にいい結果になったので、またあしたからお客さんに楽しんでもらえるように頑張っていきたいと思う」

ほっとしたのも束の間。4月24日までの物産展の期間中は、伊藤さんにとって気の抜けない日々が続きます。

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