癖毛もう隠さない、私の魅力だから 注目集まるカーリーヘア インフルエンサーのイベント人気

初めて広島で開いたイベントで、参加者にほほ笑みかけるYukariさん㊥

 多くの人を悩ませる癖毛。うねりや広がりを抑えるため、ストレートアイロンや美容院での縮毛矯正が欠かせないという人もいるだろう。ところが今、持ち前の癖を生かした「カーリーヘア」に注目が集まっている。インスタグラムでスタイリング法などを発信するインフルエンサーが、広島市で開いたイベントを取材し、その魅力に触れた。

 「雨の日が怖くなくなった」「もはやカーリーじゃないと物足りない」。3月末、中区のイベント会場で11~60歳の女性11人が、カーリーヘアにしてよかったことを熱く語り合っていた。「くせ毛インフルエンサー」のYukari(ユカリ)さん(40)=東京=が開いた癖毛の人の「オフ会」だ。参加者はスタイリングにも挑戦。Yukariさんの指南でカールがきれいに出ると、わっと歓声が上がった。
 
 今はカーリーヘアを楽しむ参加者たちにも癖毛をネガティブに受け止めてきた過去がある。イベントでYukariさん自身も「昔は地毛が大嫌いだった」と打ち明けた。18歳から縮毛矯正を続けた。1回当たり数万円、数時間もかかる施術だ。それなのに美容院でのオーダーは「いつも通り、落ち着かせてください」ばかり。わくわく感は全くなかった。

 転機は出産後。白髪という新しい悩みも重なり「子育てに追われながら、癖毛も白髪も『隠すため』に大金も時間もかけて。急に『いつまでこれ、続けるの?』という気持ちになった」。2019年に長い髪をばっさり切り、ストレートヘアを卒業した。縮毛矯正をしていたころは髪のダメージを考えて黒髪ばかりだったが、ピンクのカラーにも挑戦した。人にどう見られるかではなく「自分がこうしたいから」という理由で自分の髪に向き合えるようになったという。

 参加者の一人、広島県府中町のパート丸田奈津子さん(39)は癖を生かすという考え方を知った時、「衝撃と共感」が走ったという。「ストレートを良しとする価値観が私の中にもあったから。今はストレスから解放され、ふわっとしたニュアンスが出せて気に入っています」とほほ笑む。

 ヘアケア用品の「うねりを抑えてさらさらに」の宣言文句、美容院での「うわーこれは大変だ」の一言…。「癖毛の人はさまざまな場面で私の地毛ってだめなんだと刷り込まれてきた」とYukariさん。うなずく参加者にこう続けた。「真っすぐな髪は美しいけど、癖毛だって美しい。ここにいる一人一人がありのままの魅力を体現していけば、もっと自由に笑顔になれる気がします」

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