「本当に酷いドライビング」マグヌッセンの非を主張する角田裕毅に元F1王者も同調! リカルドももらい事故で「RBは大惨事」

F1第5戦の中国グランプリは4月21日に決勝が行なわれ、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は今季初のリタイアを喫した。

初日の最初のセッションからグリップとペースの不足に苦しみ、予選はスプリント予選同様に19番手に沈んだ角田だったが、スタートで順位を上げ、さらにセーフティーカー導入からのレース再開後には13番手まで上がったが、26周目にケビン・マグヌッセン(ハース)の接触を受けてスピン、リアタイヤがパンクしたことで、車を停めることを余儀なくされた。

失意のレース後、自身のSNSに「巻き返しをしていたところ後続車に接触されリタイヤとなりました! またマイアミで強く戻ってきます!(原文)」と投稿した角田は、またチームの公式サイトを通して、以下のように声明を発している。

「今日の結果は残念で、悔しいです。マグヌッセンとの接触までは、レースの流れに満足していました。セーフティーカーの後、良い再スタートで5つも順位を上げられていたので、できることを最大限に活かせたと感じていますが、ペース自体は望んだほど改善されませんでした」

「他の車よりも滑りやすく、チームは一生懸命、解決に取り組んでサポートしてくれましたが、全体的に今週は本来の強さを示せず、それが残念でした。ファエンツァに戻って原因を調査し、(次戦の)マイアミには強くなって戻ってこられるでしょう。良いペースを見せていたダニエル(・リカルド)もリタイアしてしまったのは残念であり、チームとして2台とも完走できず、ポイントを獲得できなかったことが悔しいです」

また、レース後のインタビューでは、マグヌッセンとの接触について「はっきりしているのは、彼が僕のタイヤに触れてスピンさせたということです。僕にできることは何もありませんでした。スペースも十分に空けていました。途中まで上手くいっていたので、これでレースが終わってしまったのは悔しいです」と、完全にもらい事故であると強調した(フランスのモータースポーツ専門サイト『NEXTGEN-AUTO』より)。
この週末ではリカルドと好不調が逆転したことについて、「ペース自体は良かったし、スタートも良かったし、ポジションも上げるなど、できる限り最大限の努力はしました。それでも、チームメイトとは差があったので、その理由を確認したいと思います」とコメント。そして、ここでも「チームは問題を解決するのに役立っています。彼らは、たくさん僕を助けてくれています」と、スタッフへ感謝の意を示すことを忘れていない。

対して、RBのチーフエンジニアのクラウディオ・バレストリは「ソフトタイヤでスタートしたユウキは、幾つかポジションを上げ、また他の車よりも早くピットインしてミディアムタイヤに交換することでアンダーカットを狙った。残念ながら、レース再開直後にマグヌッセンがユウキに追突し、右リアタイヤを破損させた。今日は我々の日ではなかった」と、レースを総括した。
また、チーム代表のローラン・メキーズは、「日曜日は、我々にとって失望の日だった。ユウキにとっても、難しい週末となった。初めてのスプリントでここを走るのは常に難しいことだが、彼は粘り強く戦い続け、今日は多くのポジションを上げる良いレースを見せた」と、角田のレースウィークエンドを評している。

各国専門メディアの報道を見ると、イタリアの自動車専門サイト『MOTORIONLINE』は、リカルドを含めたRBのダブルリタイアに言及し、「RBにとっては大惨事! 全てはレース中盤、セーフティーカーがコースを離れた直後に起こった。角田はマグヌッセンとの接触でパンク&スピン、リカルドは新しいシャシーの効果によりまるで新しい世界にいるようで、再スタート時には11番手まで浮上していたが、ランス・ストロール(アストンマーティン)に背後から車を持ち上げられ、大ダメージを受けた」と伝えた。

『NEXTGEN-AUTO』も、「マグヌッセンの『VCARB 01』に対するクラッシュにより、角田は自身のレースが突然終了するのを目の当たりにした。このRBのドライバーは、予選が不調だったにもかかわらず、レースでは順位を上げていたが、このような形で完走できなかったことにフラストレーションを感じている」と、日本人ドライバーを見舞った“災難”を振り返っている。

なお、スポーツ専門チャンネル『Sky Sports』の解説を務めた元F1王者のニコ・ロズベルグは、この接触に対して「ケビンの行為は本当に馬鹿げている。不必要な攻撃性で、あれは良くなかった。それは非常に攻撃的で不必要だった。ユウキはスペースを空けていたし、彼に他にできることは何もなかった。適切な距離を保たずに接触したのは良くない。本当に酷いドライビングだ」との見解を示した。

一方、オーストリアの『MOTORSPORT NAGAZIN.COM』は、ここまで完勝を収めていたチーム内対決に注目し、「角田にとっては、今季これまででおそらく最悪のレースウィークエンドの締めくくりとなった。彼はリカルドにも対抗することができず、金曜日からその理由が分からないままで終わってしまった」と綴っている(ちなみに、ようやく予選成績では勝利を挙げたリカルドだが、セーフティーカー出動中の追い抜きのペナルティーで次戦マイアミGPでは3グリッド降格が決定している)。

構成●THE DIGEST編集部

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