よくあるインドカレー屋の謎に迫る!どの店も似た料理&経営者がネパール人なのはナゼ?

近頃よく見るインドカレー店は、だいたいネパール人が経営している?集英社新書から発売されている『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』を著したフリーライターの室橋裕和さんが4月22日の『大竹まことゴールデンラジオ』に出演。本に書かれた内容について伺った。

大竹「日本ではインドカレー屋さんが多いですけど、こういう料理は向こうには無い?」

室橋「無いわけでは無いんですけれど、一般的に家庭で食べられているものかと言えば、ちょっと違う感じがします。インドでは、特に北インドのあたりの外食料理の一形態なのかなと思います。ではネパールにはあるかといえば、やっぱり家庭にはほぼ無いと思います」

大竹「ネパールでは何を食べてるんですか?」

室橋「普通は、例えばダルバートと呼ばれるような定食料理で、豆の煮物だったり、高菜とか、野菜の煮付けとか、それをご飯で食べるというような料理で、どちらかというと日本の「ご飯+おかず」のような素朴な感じで、日本人にはもしかしたらネパール料理の方が合うんじゃないかと思うんですが、ネパール人はなぜか、日本で頑なにインド料理を出しているんですね」

阿佐ヶ谷姉妹・江里子「そういうネパールの方が経営されているカレー屋さんが多いんですか?」

室橋「すごく多いです。今、日本にあるカレー屋さんは、ほぼネパール人経営だと思います」

大竹「なんでそんなことになっているんですか?」

室橋「まずネパール人にとって、日本に出稼ぎに来る一形態としてカレー屋が好まれたんですね。ある人がカレー屋を開くとします。その人のつてをたどって、さらに親戚筋が次々とやってきて、この人たちもカレー屋を開くわけです。そこでコックが必要になると、そのコックもネパールから呼んでくる。そういうコックもやがてお金を貯めて独立をして、自分の店を作るわけです。そこでまた一軒増える、そこでまた働く人を呼ぶ。そんな感じで連鎖移民というか、親が子を生み、子が孫を生みというような形で、店とネパール人がどんどんふえていって、それぞれが家族も呼ぶようになってくるので、どんどんネパールコミュニティがカレー屋を軸に広がっていったという感じになっています」

大竹「こういう感じのお店は、今何件ぐらいあるんですか?」

室橋「諸説あるんですけれど、日本全国で4~5千と言われてますね。ものすごくたくさんあります」

大竹「日本は今円安で、来る外国の方も限られてきていますが、御本にはネパールの月収は日本円で1万7~8千円ほどだとお書きになってますね」

室橋「そうですね、日本よりかなり厳しい状況なので、まだまだ日本に行きたいという人は多いですね」

大竹「日本に来るにあたって間に変な業者とか入ってないですか?」

室橋「もちろん入ってるんですね。入っていない場合もあるんですけれど、ブローカーを頼ってお金を払ってくる人も多数いて、特に10~15年前はたくさんいて、今は少し減ったそうです」

大竹「そうやって店が増えてきます。でもネパールの人は自分たちで食べておいしいからやってるわけじゃないんですよね?」

室橋「ネパール人ももちろん、ナンとかタンドリーチキンとかバターチキンカレーというような、典型的なインド料理を外食として好むことはあるんですけど、自分たちの故郷の味とはやっぱり全然違うわけです。僕も、インドカレー屋を経営しているコックとか経営者の家にお邪魔して取材したことがあるんですけど、そこで出された食事は全然違います。本当に普通の素朴なネパール料理ばかりなんですよね。だからネパール人がインドカレーのお店で出してるのは、日本人が好きであろうと彼らが信じているスタイルなんです。必ずしも日本人が好きかどうかっていうのは分からないけど、でもネパール人の中では、このスタイルが日本人が好きだろうと、どこか頑なな思いがあるんです。例えばカレーはすごく甘い方がいいとか、スパイスはそこまで効かせないほうがいいとか、ナンはなるべく大きく「映える」ようにとか。また周りの店と競合できる価格帯を考えていて、その価格帯や料理のスタイルで他の外食チェーン店やコンビニとかと戦っているので凄いと思います」

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