「老後2000万円問題」を、60代の人たちはどれくらい理解している?

60代で「老後2000万円問題」を知っている人の割合は?

「老後2000万円問題」とは、金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が「老後20~30年間で約1300~2000万円不足する」と発表したことで物議を醸した老後の資産形成に関する問題です。

報告書によると「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯」をモデルケースとした場合、毎月の赤字額が約5万円になるという試算結果が出ています。毎月の赤字額を保有している金融資産で補填(ほてん)し続けると、20~30年間で約1300~2000万円が必要になるのです。

株式会社Financial Academyが、2000万円問題が発表された半年後の2019年におこなったアンケート調査によると、2000万円の問題を「知っている」と答えたのは全体の67%でした。

2000万円問題はその後もたびたび報道されていることから、認知度はさらに高まっているものと考えられます。

60代のうち半分以上の人が老後資金のための具体的な行動を起こしている

株式会社Financial Academyの調査によると、2000年問題が発表されたことをきっかけに老後資金のために具体的な行動を起こした人が全体の23%存在します。

以前から老後資金のための行動をとっていた31%とあわせて、全体の54%が老後資金のために何らかの行動を取ることになったのです。老後資金として公的年金以外に個人で準備すべき金額については、以下の結果となりました。

表1

※株式会社Financial Academy「令和元年の個人のお金問題」に関する意識調査を基に筆者作成

「わからない」の28%を除くと、全体の過半数が老後の資金として2000万円以上の資金が必要だと感じているという結果になりました。

具体的には、老後資金のための情報収集をしたり、資産運用をしたりするなど、2000万円問題をきっかけにさまざまな行動に出る人が増えています。

必要な資金を試算して老後に備えることが重要

「老後2000万円問題」とは、金融審議会が「老後20~30年間で約1300~2000万円不足する」と発表したことで物議を醸した老後の資産形成に関する問題です。

60代のうち「老後2000万円問題」を内容まで理解している人は、約6割にのぼります。また、60代の半分以上の方が、老後資金として「2000万円」という数字を意識していることが分かりました。

しかし「老後2000万円問題」は「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯」をモデルケースとし、介護費用や住宅リフォーム費用などの特別な支出を含まずに試算されています。

そのため、趣味や介護にかかる支出を含めると、2000万円では足りない可能性もあります。60歳を過ぎてから起こり得る状況を想像し、必要な資金を試算して老後に備えましょう。

出典

金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
株式会社Financial Academy 【お金トレンド調査】老後2,000万円問題から半年、その後の実態を全国600名に調査。「貯蓄から投資へ」いよいよシフト!? 2,000万円問題を機に新たに動いた人も2割

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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