「担当は自分の人生のすべてだった」ホストにのめり込み…頂き女子りりちゃんが手記につづった“孤独”

メ~テレ(名古屋テレビ)

「頂き女子りりちゃん」に実刑判決です。被害額1億5000万円以上にのぼる詐欺事件。被告がつづった手記からは「さみしさ」を埋める方法を求める姿が浮かび上がってきました。

「私にとって担当(指名するホスト)は自分の人生のすべてだった」 「本当、苦しかった。苦しかった。」(渡辺被告の手記) 自身のYouTubeチャンネルで「頂き女子りりちゃん」を名乗っていた渡辺真衣被告(25)。 渡辺被告は自身が勤務していた風俗店やマッチングアプリで知り合った3人の男性に好意を抱かせ、「知人に借金がある」「アパレル会社を設立した借金がある」などと嘘を言って、あわせて1億5000万円以上をだまし取った詐欺の罪のほか、その所得を申告せずに約4000万円を脱税した所得税法違反の罪などに問われています。 22日午後の判決では、渡辺被告に懲役9年、罰金800万円の判決が言い渡されました。 これまでの裁判で、起訴内容を認めていた渡辺被告。なぜ、渡辺被告はこうした行為に手を染めていってしまったのでしょうか。 メ~テレは、渡辺被告との面会を重ね、被告自身が書いた手記を入手。 そこには、渡辺被告が感じていた「孤独」、そしてホストに出会い、のめりこんでいった様子が書かれていました。

認められると心が満たされる

「生きる意味って何なんだろ」(渡辺被告の手記) 手記によると、渡辺被告は小さなころから父親からDVを受けていたといいます。 働き始めてからは、派遣社員として携帯電話の販売店に勤めましたが、職場になじめず信頼できる友達もいなかったという渡辺被告。 「孤独」を深めていきました。 そんな日々を変えたのが、知人の女性に連れていかれたホストクラブだったといいます。 「俺のエースになってよ」(渡辺被告の手記) 「エース」とは、ホストに対して最もお金を使う客のこと。この言葉が、渡辺被告に生きる活力を与えたというのです。 「『私の人生に生きる意味をくれた』崇拝すべき人物でした。」(渡辺被告の手記) 大金を支払うために、渡辺被告は風俗店での勤務を始めます。ホストに「いい子だな、すごい子だな」と認められることで心が満たされていたといいます。

徐々にホストにのめり込む

「好き」「かわいい」「〇〇だけだよ」ホストからかけられる数々の甘いフレーズ。 「お金のためと分かっていても、特別な女の子扱いしてくれるのは、胸がトキめく。乙女になれる。」(渡辺被告の手記) 徐々にホストにのめり込んでいったといいます。さらに―― 「私が初めて売掛をしたのは、ホストに通い始めて、約1カ月半くらいの時でした」(渡辺被告の手記) ホストクラブにおける「売掛」は、いわゆる「ツケ払い」です。断り切れず、はじめは50万円の「売掛」を背負いました。 期限までに50万円の支払いを終えることができた渡辺被告。 それ以降、自身にとって売掛(ツケ払い)は「当たり前」になっていったといいます。

現金を“頂く”行為を繰り返すきっかけとなった「ホストクラブ」

「担当のために、人生かけて、自分の精神も身体もボロボロ」 「本当、苦しかった。苦しかった。」(渡辺被告の手記) 渡辺被告が男性らから現金を「頂く」行為を繰り返すきっかけとなった「ホストクラブ」。 名古屋の繁華街でも、ホストクラブは人気を集めています。 ホストの男性とホストクラブで知り合い、いまは「真剣交際をしている」という女性は―― 「『やっぱきょうも最高だね』とか『こんなことできるの何々ちゃんだけだよ』とか言われると、鼻が高くなって『まあね、私すごいでしょう』という自信になります。高いお金払ってでも、その子(ホスト)に会いたいと思っちゃいます」(ホストクラブに通っていた女性)

大きな文字で「やだ。」

「ホストクラブにまた行きたいか?」私たちが尋ねてから約1カ月後。送られてきた渡辺被告の手記には―― 「やだ。」大きな文字で記されていました。 メ~テレの取材に対し「だまし取ったお金は生活費を除いてすべてホストクラブに使い込んだ」と話していた渡辺被告。 これまでの裁判で検察側は「遊ぶ金欲しさの極めて短絡的で身勝手なもの」などとして、懲役13年、罰金1200万円を求刑しました。

座ったまま判決の理由に耳を傾けていた

そして迎えた22日の判決公判。 名古屋地裁は「意中のホストらの売り上げに貢献するための資金を得たいという動機は身勝手で酌むべき余地はない」などと指摘した一方で、「被害者らに対する謝罪と賠償の意思を示すなど、反省の態度を示している」などとして、渡辺被告に懲役9年、罰金800万円の判決を言い渡しました。 主文が言い渡されたあと、渡辺被告は”過呼吸”とみられる症状となり、裁判は一時中断。 約4分後に再開されましたが、渡辺被告は座ったまま、判決の理由に耳を傾けていました。 弁護人によりますと、控訴するかどうかについては、渡辺被告と話し合って決めるということです。

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