「相手にとって数少ない厄介な存在」古巣相手に45分間奮闘した久保建英に現地メディアは賛辞! 一方で「最悪の時期を過ごしている」との指摘も

4月21日に行なわれたラ・リーガ第32節で、レアル・ソシエダはヘタフェと1-1で引き分けたが、この試合でベンチスタートだった久保建英は後半からピッチに登場した。

敵地での一戦、13分にシェラルド・ベッカーのクロスをアンデル・バレネチェアが身体を投げ出してのヘディングシュートで合わせて先制したソシエダだが、29分に追いつかれた。勝ち越しを狙った後半、バレネチェアとの交代で出場した久保は、古巣相手に両サイドから仕掛け、チャンスも創出している。

データ専門サイト『WhoScored.com』によれば、ボールタッチ29回、パス14本(成功13本)、キーパス1本、ドリブル3回(成功3回)、空中戦2回(勝利なし)、タックル2回(成功2回)、ボールロスト3回、ファウル1回というスタッツを記録した久保に対する現地メディアの評価を見ると、マドリードのスポーツ紙『MARCA』は3点満点の「1」と厳しかったが、「後半、最初に危険な場面を生み出したのは、ソシエダの日本人選手だった」と、そのプレーに言及した。

一方、『AS』紙は「久保がピッチに登場すると、すぐにディエゴ・リコとルイス・ミジャを中盤で抜き去った。ソシエダにとって彼のプレーは非常に重要で、不可欠である」と綴ったが、採点はこちらも「1」止まり。そして個別評価は、「久保は、プレーと自信の面で苦境に立たされている。おそらくこれは、蓄積された疲れと小さなフィジカルの問題が原因だ。そんな中、彼は1回だけ、敵陣ゴールラインまでボールを運んだ」と、ネガティブな内容となっている。

続いて、バルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』は、久保の45分間のプレーを「創造的」と表現し、「あまり目立たなかったものの、ボールをキープし、ファウルを誘発し、ドリブルで相手を抜き去った。ウマル・サディクに得点チャンスを提供した」と、こちらは日本人選手に対して好印象を抱いたようだ。
『SPORT』紙も、「ラ・レアルは後半、完全に調子を崩してほとんど機能せず、久保の幾つかの攻撃プレーが唯一の反応だった。バレネチェアに代わって登場したこの日本人選手は、ヘタフェにとっての数少ない厄介な存在のひとりとなった」と、背番号14のプレーが効果を発揮したことを強調している。

ソシエダの地元であるバスクの日刊紙『noticias de Gipuzkoa』は、現在の久保を「最悪の時期を過ごしている」と評し、「イマノル・アルグアシル監督は、ぎっくり腰になったバレネチェアの代わりに久保を投入し、試合は少し開放的になったが、明らかにヘタフェが勝利に近づいているようだった」と、この交代が試合の流れを変えるには至らなかったことを示す一方で、「久保の唯一のチャンスをサディクが無駄にした」と伝えた。

また、10点満点の採点では及第点に満たない「5」(これでもフィールドプレーヤーでは最高タイ)を与えたが、「久保は予想通り、調子が良くない中でも、最も危険な攻撃を仕掛けた」と、寸評はチームの中でも数少ないポジティブな内容となっている。

最後に、サッカー専門サイト『El Desmarque』は、「途中交代で幾つか良いプレー披露した。彼は100%のコンディションではなかったため、イマノルは試合開始から彼を出さなかったが、それでも攻撃に動きをもたらした」と賛辞を贈り、採点は交代選手の中では最高となる「6」を久保に付与した。

構成●THE DIGEST編集部

© 日本スポーツ企画出版社