「物価高に手取りが追いつかない」…4年間で「洗濯用洗剤」「卵」が高騰したワケ

(※写真はイメージです/PIXTA)

ロシアのウクライナ侵攻以降、物価が上昇していることは多くの人が肌で感じていることでしょう。実際、数値としてはどれくらい上昇しているのか? 見ていきましょう。

「洗濯用洗剤」「卵」の価格高騰が顕著

消費者庁『生活関連物資の価格動向』では、令和2年の物価を基準(100)とし、品目ごとに、令和3年以降各月の販売価格指数を算出しています。

令和6年2月時点でもっとも高い指数となっているのは洗濯用洗剤「149.50」。令和2年の1.5倍となっています。卵「133.17」、冷凍調理(惣菜)「132.47」と続きます。

洗濯用洗剤の価格高騰の理由としては、原材料や輸入コストの高騰のほか、高付加価値の商品が増えていることも挙げられます。子供のいる家庭では特に洗濯の回数が多くなるため、洗濯用洗剤の価格高騰は大きな打撃となります。

卵自体は国内で生産されているものの、鳥インフルエンザの流行時に鳥が殺処分されたこと、飼料となるトウモロコシや大豆の価格が高騰していることが、価格高騰につながりました。

トウモロコシについては、ウクライナが世界の輸出のうち10%以上を占めていました。原油の高騰、円安、中国における需要の高まりもあって、高騰が続いています。

こうした状況を受け、廃業する養鶏家も存在しています。地域の養鶏家が廃業してしまうと、遠くから運んでこなければならず、輸送費が増えることでさらに卵の価格が上がる…といった可能性が否めません。

さて、全ての品目の価格が上昇しているわけではなく、手指用消毒剤「82.34」、ビール「90.98」については令和2年よりも安くなっています。手指用消毒剤については、コロナが猛威をふるい高額転売も見られた頃と比べ、市場規模が膨らんで在庫も安定しています。

ビールのここ数年の価格について、総務省統計局によると“「ビール」、「発泡酒」及び「ビール風アルコール飲料」の小売価格は、2017年6月の酒税法改正の影響により上昇した後は下落傾向にありましたが、2019年10月の消費税率引上げにより上昇しました。その後、2020年10月の酒税法改正ではビールは税率引下げにより下落し、ビール風アルコール飲料は税率引上げにより上昇しました。その後は横ばい傾向で推移しましたが、2022年10月には、原材料価格や資材価格・エネルギー価格・物流費などのコスト上昇により、いずれの品目も上昇しています”。

「高騰に手取りが追いつかない」…物価高による閉塞感

記載のとおり、2022年10月には大手4社が一斉に14年ぶりの値上げをおこなっていました。しかし2023年10月の酒税変更を受け、ビールの販売価格は1%〜3%値下げされています。

数値としてビールの価格は減少しているものの、実感としてあらわれているでしょうか。

全ての日用品・食品の価格が高騰しているわけではないものの、多くの人が物価高による閉塞感を感じているのが実情です。実質賃金の減少は、過去最長期間を記録しています。

「物価高騰に手取りが追いつかない」「政府は円安をなんとかして」といった声がよく聞かれます。

政治による改善にも期待したいところですが、早急な効果を見込むのは難しいでしょう。なんとか自分にあった副業を見つける、お金の知識を深める、転職を考える…など、自助努力が求められています。

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