ふるさと納税返礼品で産地偽装 他県産を「鹿児島黒豚、黒毛和牛」と偽る 7年間で計563件、納入業者「仕入れ価格高騰で代替品に」 志布志市が公表、謝罪

ふるさと納税返礼品の不適正表示について会見で陳謝する下平晴行市長(右)=22日午前10時、志布志市役所

 鹿児島県志布志市は22日、ふるさと納税返礼品の一部で、県外産の豚肉や牛肉を鹿児島県産と不適正に表示して提供していたと発表した。提供業者の「蓬(よもぎ)の郷(さと)」(同市)が、市独自の調達基準を満たさない食品加工会社「谷川食品」(都城市)から仕入れており、同社は鹿児島県産の黒豚、黒毛和牛と偽って納めていた。市役所で会見した下平晴行市長は「寄付者や関係者に多大な迷惑と心配をかけ、深くおわびする。再発防止と信頼回復に努める」と謝罪した。

 市港湾商工課によると、不適正表示があったのは2017年5月から24年1月に発送した「鹿児島自慢3点セットうなぎ・黒毛和牛しゃぶ肉・黒豚しゃぶ肉」など31種類。501人に563件送り、寄付額は約2434万円になる。

 市は2月、総務省の通知に基づき、市内の全ての返礼品提供業者への調査を始めた。市の基準は、市内の業者と協業する前提だったが、蓬の郷が市外の谷川食品から仕入れていることが3月判明した。4月には同社が産地や品種を偽って納めていたことも分かり、同19日に総務省へ報告した。

 該当する寄付者には同22日にメールで知らせ、5月上旬から代替品とおわびの品を送る。

 蓬の郷は、市の施設「志布志市蓬の郷ふれあい交流センター」の指定管理者。市や同社によると、ビアガーデンや忘・新年会でも一部料理で、黒豚ではないのに「黒豚」と不適正な表示のまま提供していた。蓬の郷は「お客様の信頼回復に努める」としている。

 谷川食品の谷川長蔵社長(67)は、南日本新聞の取材に対し「肉の仕入れ価格の高騰に伴い(蓬の郷側に)値上げを求めるべきだったが、言うことができなかった」と代替品を使用した理由を説明。「申し訳なかった」と謝罪した。

 市は再発防止に向け、事業者を選定する際、工場への立ち入りや取引実績を踏まえた審査、仕入れ先への確認などを盛り込んだ仕組みを構築するとしている。

 問い合わせ窓口=099(201)9901。午前9時〜午後6時。メールアドレスshibushi@lrinc.jp

〈関連〉蓬の郷に掲示されたおわびの文書=22日、志布志市有明町蓬原

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