【セルジオ越後】守備的なシステムの韓国を崩し切れず。ストライカーの藤尾がなぜサイドハーフ? GKで小久保を起用しなかったのも疑問だ

U-23日本代表がパリ五輪のアジア最終予選を兼ねたU-23アジアカップのグループステージ最終節で韓国と対戦し、0-1で負けた。グループBの首位を逃し、2位での通過となった。

日本は、最終ラインに5人を並べる守備的なシステムを採用した韓国を相手に攻めあぐねた。ボールを握ったものの相手のブロックを崩し切れず、なかなか中央から攻撃できなかった。サイドからの攻めに活路を見出そうとしたけど、実らなかった。

前節からスタメンを7人変更したけど、疑問が残る顔触れだったね。1トップに抜擢された内野航太郎は素質の高さは感じられたけど、現時点でのパフォーマンスを見る限り、本職がセンターフォワードの藤尾をサイドハーフに押しやるほどではないと思った。

本来はストライカーの藤尾が、チャンスメーカーになっていた。最近は複数のポジションをこなせる選手が称えられる傾向にあるけど、本職の方が優先されるべきだ。藤尾が良かっただけに、悔やまれた。

キーパーは、2試合連続完封の小久保から野澤に代わった。75分の失点の場面では、相手のコーナーに飛び出したけど触れず。ファーでヘディングシュートを叩き込まれた。今大会ここまで何度も好セーブでチームを救ってきた小久保だったら...と考えてしまったよ。

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選手交代の遅さも気になった。58分と62分に2人ずつ代えた韓国に対し、日本は63分に3人、先制された後の77分に2人を投入した。最初の交代で入ってきたキム・ミヌが決勝ゴールを決めたのは、皮肉だったね。

過去を振り返っても仕方ないけど、UAE戦の結果がやっぱり痛恨だった。2-0にした後に再三訪れたチャンスを活かせず。その結果、総得点数で韓国と並んだため、“引き分け以上”でグループ首位通過という状況を作れなかったのだから。

日本が引き分けでOKだったら、勝利が必要な韓国は守備的な布陣で臨んできたか。精神面でも、より強いプレッシャーが相手にかかったはずだ。そういった面でも、悔いが残ってしまった。

準々決勝の相手は、グループAで1位の開催国カタールだ。チームとしてまとまっているし、今大会は無敗で勢いもある。ここで負ければパリへの道は閉ざされる。簡単ではない試合になるだろうけど、何とか勝ち抜いてほしいね。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、78歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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