【西武】チーム急失速で…松井監督に「優しすぎる」の声 若手は〝レギュラー持ち回り〟で薄い危機感

厳しい状況に置かれている西武・松井監督

西武の急降下に歯止めがかからない。今季は開幕から3カード連続で勝ち越し。ところが、その後はここまで4カード連続負け越しと苦しむ。直近10試合はロッテ、ソフトバンク戦の7連敗を含む1勝9敗で深刻な低迷にあえいでいる。

この10試合で先発陣は8度のクオリティー・スタート(6回以上を自責点3以内)、うち6度のハイクオリティー・スタート(7回以上を自責点2以内)をマーク。ところが打線はチーム打率1割7分1厘、15得点の超低空飛行だ。好投する先発陣を援護できず3度の零封負け、そして1点差試合は1勝4敗と勝機を逸する大きなマイナス要因となっている。

深刻な貧打に松井稼頭央監督(48)も打つ手がない状況だ。その一方、チーム周辺からは指揮官に対し「勝負に対する厳しさを前面に出してもいいのでは」との指摘も向けられている。

松井監督といえば「一度や二度の失敗で選手を見限らない」「敗戦の責任は自らかぶり、メディアを通して選手の悪口は言わない」などという評判が一般的にはあり、素晴らしい人間性を兼ね備えているともっぱらだ。

しかし半面で、その優しすぎる性格ゆえ、勝利を義務付けられる現場の指揮官としては物足りなさも露呈し始めている。この2年間、松井監督が「キーマンは僕自身」と自覚しているように、どう「厳しさ」を打ち出すかがテーマとなっているのは疑いようがない。

チーム内には伸び悩む若手野手の現状に「失敗しても『チャンスはいくらでも回ってくる』とレギュラー不在の状況に〝安住〟してしまっている」(関係者)と危惧する声が出ており、事実として一塁、二遊間以外のポジションが定着しない悪循環を招いてしまっている。

周りのライバルと切磋琢磨できない状況や、怒らない首脳陣の人柄に安堵して〝レギュラー持ち回り〟のぬるま湯意識が定着しつつあるという。

この状況を打破し、ひしめく一軍半クラスの野手に危機感を持たせるためには、やはり松井監督が意を決して「厳しさ」を出して行くしかない。たとえ言葉を使わなくても、ミスを犯した選手に対する懲罰交代や速やかな降格など、采配面でもそれは十分に可能だ。

就任2年目を迎えた獅子の指揮官には今、大きな変化が求められている。

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