頂き女子りりちゃん懲役9年 ホストクラブは「売り掛け廃止」徹底も…効果期待できぬ理由

売り掛け廃止の効果は…(写真はイメージ)

「頂き女子りりちゃん」の判決はホスト悪質営業問題の警鐘となるのか。

男性3人から計約1億5500万円以上をだまし取った罪に問われた「頂き女子りりちゃん」こと渡辺真衣被告(25)に名古屋地裁は22日、懲役9年、罰金800万円の判決を言い渡した。検察側の求刑は懲役13年、罰金1200万円だった。

渡辺被告は入れ上げたホストをNo.1にするためにお金をだまし取り、男性から金をだまし取るマニュアル本まで販売していた。裁判長は「ホストの売り上げに貢献するために資金を得たいという動機は身勝手」と指摘し、マニュアル本についても「同種の犯罪を助長し悪質」と断罪。判決を言い渡された渡辺被告は過呼吸となり、ふらつく場面もあった。

同事件をめぐっては、詐欺で得た金と知りながら同被告から現金を受け取ったとして、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益収受)の疑いで、東京・新宿区のホストクラブ店員の狼谷歩こと田中裕志被告も逮捕された。

ホストクラブでの「売り掛け」による多額の借金により、女性が売春を強いられることが多発し社会問題化。厳しい目を向けられ、新宿のホストクラブの多くが4月から売り掛けを廃止している。

しかし、歌舞伎町の関係者によると売り掛け廃止の効果は見られないという。どういうことか。

「売掛金はなくなっても、店に入る前に借金をさせるというパターン。他にもクレジットカードを作らせて、限度額を一気に切らせる。ホストはそうじゃないと成り立たない商売。売り掛け廃止は歌舞伎町だけの話。歌舞伎町から一歩離れたら意味がない」

渡辺被告に下された判決は、ホストクラブ問題の歯止めとなるのか。

「売春防止法違反や風営法違反などで捕まったホストに対する刑はそれほど重くなく、ホストからしたら微罪と考えるのでは」(同)。

ホスト問題の闇は根深そうだ。

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