回転窓/春の月見のお供に

昔から丸い形は縁起が良いとされている。贈答品やお土産などの菓子類にも丸い商品は数多い。その形から名が付けられ、「月」の文字を含んだものが目立つ▼思い付くままに挙げると、宮城県を代表する銘菓「萩の月」。名の由来は、満月を連想させる見た目と県花の「ミヤギノハギ」から来ているようだ。製造・販売元の菓匠三全(仙台市)のサイトでは、「萩の咲き乱れる宮城野の空にぽっかり浮かぶ名月」をかたどったと紹介している▼まろやかでやさしい風味のカスタードクリーム、ふんわりとした丸いカステラ生地。老若男女に広く好まれる組み合わせは、全国各地で類似品も少なくない▼栃木・那須塩原の出張帰りに先日購入した「御用邸の月」もその一つ。見た目や名前が似ていても味わいや食感などはそれぞれ異なり、旅先で食べ比べてみるのも面白そう▼周期的に満ち欠けする月は古来、不思議な力を持つとされて信仰の対象となり、日本の文化や美意識にも深く関わってきた。あす24日の満月は「ピンクムーン」と呼ばれ、恋愛運をもたらすとも。お気に入りの丸いお菓子をお供に、春の月見を楽しんでみては。

© 日刊建設工業新聞社