日本中の仮面が集結!「日本の仮面-芸能と祭りの世界」国立民族学博物館

「メンドン」

日本各地に伝わる芸能や祭りには仮面をつけた役が登場するものが多い。そんな日本中の仮面を集め、仮面と人々との関わりについて考える特別展「日本の仮面-芸能と祭りの世界」が、国立民族学博物館(大阪府吹田市)で開催されている。2024年6月11日(火)まで。

【写真】特別展「日本の仮面-芸能と祭りの世界」の様子より

笑顔だったり口をとがらせていたり、無表情だったり。会場に並ぶのは日本各地の祭りや芸能に登場する仮面で、ひとつとして同じ表情をしているものはない。「日本の仮面は一言でこうだ!と言えない」と話すのは、実行委員長をつとめる国立民族学博物館の笹原亮二教授。特別展ではそれぞれの地域社会で伝承されてきた仮面の歴史とその多様性を見ることができる。

国内各地の芸能や祭りでは、仮面や、仮面をつけた役柄が重要かつ印象的な役割を果たす。展示では鹿児島県・奄美大島や徳島県など9か所の祭りに焦点を当て、用いられる面一式を展示し、映像とともに紹介する。例えば、鹿児島県の薩摩硫黄島で旧暦の8月1日と2日に行われる「八朔太鼓踊り」は、400年以上踊り継がれており、島では重要なハレの場となっている。この祭りに登場するのがユネスコ無形文化遺産に登録された「メンドン」。天下御免の仮面神で、踊りを邪魔したり、見物人を神木の枝でたたいたりして暴れまわり、厄を祓う。男児も自作の面をつけてメンドンと一緒に暴れまわるという。また地域に関係なく、面を神楽の神々や翁、人物、悪霊・幽霊、天狗、道化などに分類した展示もあり、面の祀り方やつけ方、面を用いた演出や面と人との関係、面の特徴などを紹介する。

伝統芸能や祭りだけでなく、面は日常生活にも存在する。祭りの屋台では「お面」が売られているし、昭和30年代にはテレビで「月光仮面」がスタートし現代の仮面ヒーローにつながっている。また「現代のリアルなヒーロー」である仮面プロレスラーのマスクも展示され、日本の仮面は多種多様であることがわかる。

「面を人はどのように使ってきたのか、人が面をつけるとはどういうことなのか、人が何者かに変身するだけではない何かがある。展示を通してそこを考えてほしい」と笹原実行委員長は言う。

みんぱく創設50周年記念特別展「日本の仮面-芸能と祭りの世界」
会場 国立民族学博物館 特別展示館 (大阪府吹田市千里万博公園10-1)
期間 2024年3月28日(木)~6月11日(火)
休館日 水曜日

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