おっさん上司「あの人は社長の腰巾着(こしぎんちゃく)だからね…」新卒「???」…実は若者に伝わっていない「古い例え」にご用心

(※写真はイメージです/PIXTA)

「巾着」「タガ」って何? 昭和世代には当たり前でも、今の時代日常で見られなくなったモノやコトにまつわる言い回しは、若者にはほとんど意味が伝わっていないようです。今回は、山口謠司氏の著書『じつは伝わっていない日本語大図鑑』から、含蓄にあふれながらも若者には意味が伝わっていない「言い回し」をご紹介します。どんなモノにまつわる言葉だったのか、この機会にチェックしてみてください。

日常で触れたことないモノにまつわる言葉に、あたふたする若者たち

たとえば、たらいを知らない人、風呂敷で何かを包んだ経験のない人、下駄を履いたりしたことのない人……。その他、「巾着(きんちゃく)」って何? 「タガ」って何? 「ちゃぶ台」とは? 「うだつ」とは?

こんな疑問を持つ人は、そうした物が基になってできている言葉を理解しようとするのは無理があります。当然ながら、日常生活の中で見たことも触ったこともないモノやコトが多いのは、若者の側が圧倒的。その分だけ、知らない言葉に戸惑います。

こんな言い回しを使うと、全然伝わらないかも……

●下駄を履かせる下駄の裏面には高さのある2枚の歯がある。そこから、物事を実際よりも高く見せたりよく見せたりするさまをいう

●下駄を預ける自分の身の振り方や事の後処理など、すべてを相手に頼んでゆだねること。履物を預けたら歩き回ることができない意から

●お鉢が回る順番が巡ってくる意。お鉢とは飯びつ=ご飯を入れる桶状の器。昔、複数人の食事の場で、それぞれの分のご飯を取るため、飯びつを回したことから

「完食だと!? 1粒残ってるじゃないか」 「あれ? 来客用のお菓子がなくなってる!」

●腰巾着(こしぎんちゃく)…ある人にいつも付き従って離れない人のこと。まるで腰に常に提げている巾着(財布用などの携帯袋。口がひもでくくられている)のように

●大風呂敷を広げるまったくできそうにないことを言ったり、実現不可能な計画をしたりする。大噓を言う、の意も

をおす…確実で間違いないことを保証する。太鼓判は太鼓のように大きな印判。それをおすほど保証します、と

タガがむ…タガは竹や金属で作る輪。桶や樽などの外側にはめ、きつく締めあげて、堅く丈夫に仕上げるためのもの。それが緩むとは、すなわち、緊張が緩んだり、気力や思考力などが衰えるなどの意

●タガが外れる張りつめていた緊張や束縛がとれ、気持ちや態度に締まりがなくなる

●お灸(きゅう)を据える…強く叱って懲らしめる。きつく叱責する。痛い目に遭わせる。お灸は漢方療法の一つで、肌に直接のせたもぐさに火をつけて焼き、その熱気で治療することから

山口 謠司

大東文化大学文学部中国文学科教授

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