4月26日アクセス解禁で登りたい「日本百名山」絶景の稜線レポ

大菩薩嶺から大菩薩峠へと続く稜線。富士山を眺めながら歩くことができる(撮影:山歩ヨウスケ)

今年は2月に異例の暖かい日が続いたと思えば、3月に入ると真冬の寒さが戻ってきたりと、なんだか慌ただしい冬だった。4月に入り、ようやく冬のような寒さもひと段落した。

日本アルプスなど標高の高い山々では残雪期になり、本格的な登山シーズンにはまだ早いが、標高の低い山や南部に位置する山々では雪解けが進み、登山を楽しめるようになってくる。今回は冬期閉鎖になっていた林道が4月に開通予定の「大菩薩嶺」を周回するルートを紹介したい。

■日本百名山・大菩薩嶺(標高2,057m)

大菩薩嶺(だいぼさつれい)は、山梨県甲州市と北都留郡丹波山村にまたがる標高2,057mの山だ。日本百名山の一座に名を連ねているほか、花の百名山や山梨百名山、甲信越百名山、日本百霊山などにも選ばれている。

大菩薩峠(だいぼさつとうげ)から大菩薩嶺へと続く稜線は、景色もよく、気持ちよく歩くことができ、筆者も何度か訪れている山だ。

■県営林道「上日川線」冬季通行止め解除

上日川峠には無料で利用できる駐車場がある

大菩薩嶺へのアプローチには登山口がいくつかあるが、上日川峠(かみひかわとうげ・かみにっかわとうげ)から登るのが一番近いルートとなる。

例年なら県営林道日川線(にっかわせん)は、12月上旬頃に冬期閉鎖となり、翌年4月中旬頃に開通し、車の通行ができるようになる。山梨県の「県営林道交通規制情報」によると、2024年は4月26日開通予定だ。

林道の開通により、大菩薩峠から大菩薩嶺は3時間30分ほどで周回できるようになる。

■あなたはどちらから行く? 体力に自信があるなら「唐松尾根」、のんびり歩きたいなら「大菩薩峠」

上日川峠からスタートして約25分歩いた先にある「山小舎 福ちゃん荘」で分岐となる。周回コースなのでどちらから行ってもよいのだが、「山小舎 福ちゃん荘」から大菩薩峠までは車が通れるほどの幅広の道が続き、傾斜は比較的緩やかだ。もう一方の唐松尾根は距離はそれほど長くないが、稜線に出るまで急な区間が続く。筆者の体感としては、大菩薩峠を経由して周回した方が体力的に余裕を持って歩くことができた。

■富士山や南アルプスを望む絶景の稜線歩き

「山小舎 福ちゃん荘」から大菩薩峠まではおよそ1時間かかる。大菩薩峠には山小屋「介山荘(かいざんそう)」があり、軽食や飲み物、お土産品が販売されている。

大菩薩峠からの稜線歩きは、今回紹介するルートで一番の見どころといえる区間だ。

大菩薩峠から大菩薩嶺までは45分ほど。その間は樹々が少なく、見晴らしのいい稜線歩きが続く。天気がよければ富士山や南アルプスを望むことができ、甲府の街並みと一緒に大パノラマを楽しみながら歩ける。道中、休憩しやすいスペースも多くあるので好きな場所で景色を楽しんでほしい。

とにかく見晴らしのいい区間だが、足元への注意はしっかりとしたい。危険を感じるような場所はないが、ゴロゴロとした岩があるので浮石などに気をつけよう。

見晴らしのいい稜線歩きではつい景色に見惚れてしまうが足元に注意

■目的地の大菩薩嶺は眺望なし。記念撮影をしたら下山しよう

今回のルート最高地点である2,017mの大菩薩嶺は眺望がなく、樹林帯の中にひっそりとある。そのため、何度も訪れている人は大菩薩嶺の標識があるところまでは行かず、「雷岩」の分岐点から唐松尾根を使って下山する人もいる。筆者が訪れた時に出会ったハイカーも大菩薩嶺には行かずに下山していた。

眺望はなく標識があるだけだが、分岐点から10分もかからずに到着できるので初めての人は記念に訪れてみてほしい。

唐松尾根を使って下山すれば上日川峠までは1時間20分ほどで到着する。時間に余裕があれば、稜線を引き返し、景色を楽しみながら大菩薩峠経由で下山するのもいいだろう。

■交通規制情報と天気予報にはくれぐれも注意を

林道上日川線の規制解除は4月26日を予定しているが、天候や積雪の状況によって延期になる可能性もある。出発前に交通規制の状況を確認してから出かけてほしい。

本格的な春の訪れとなる4月だが、大菩薩嶺は標高2,000mを超える。雪がなくても気温はまだまだ低いので、防寒対策をしっかりとして景色を楽しんでもらいたい。

〈登山ルート〉
上日川峠⇒(25分)⇒山小舎 福ちゃん荘⇒(1時間)⇒大菩薩峠⇒(45分)⇒大菩薩嶺⇒(1時間)⇒山小舎 福ちゃん⇒(20分)⇒上日川峠

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