データで検証 ソフトバンク新4番山川穂高が見せるシーズン序盤からの〝爆発力〟投球コース別の成績では意外な事実も

13日の西武戦の8回無死、山川は2打席連続の満塁本塁打を放つ(撮影・伊東昌一郎)

週に1度の「もっとホークス」。今回はソフトバンクの話題の選手をデータを通して検証します。取り上げるのは今季西武からフリーエージェント(FA)移籍で加入した山川穂高内野手(32)。13日の古巣西武の本拠地ベルーナドームでの一戦では、史上2人目の2打席連続満塁本塁打をマークしました。4月から爆発力を見せつけているタカの新4番にまつわるデータを紹介します。(投球コース、球種を含めたデータはJapanBaseballDataなど参照)

◆結果を出すのが早い

昨季までの本拠地に鮮烈な2発を突き刺した。ソフトバンクの新4番山川が、13日の西武戦で6回に水上から2号、8回に豆田から3号といずれも左翼席に運び、2006年の二岡智宏(巨人)以来史上2人目、パ・リーグでは初となる2打席連続満塁本塁打を記録した。さらに、全球団からの本塁打は史上44人目。1試合8打点は球団では1970年のジョーンズ、90年の岸川勝也、2003年の松中信彦と並ぶ最多タイの打点で記録ずくめの一戦となった。ちなみに山川自身のグランドスラムは通算6本となった。

山川の西武時代の1試合最多打点は7。18年4月25日のヤフオクドーム(現ペイペイドーム)。ソフトバンク戦だった。3回にバンデンハークに逆方向への先制満塁弾、6回には岡本に3ランを見舞った。その際の相手の選手となって、今回は古巣との一戦で打点の自己記録を塗り替えた。

さらに今年4月19日のオリックス戦(ペイペイドーム)では、本拠地1号となる4号3ランを山下からマークするなど計5打点を挙げた。山川にとって1シーズンで1試合5打点以上を2度記録したのは、22年以来2年ぶり2度目。前回は4月27日のソフトバンク戦(同)、5月8日の日本ハム戦(ベルーナドーム)で、各5打点、2本塁打を記録している。前回はシーズン出場22試合目、今回は同17試合目での達成。18年の7打点も含めて、シーズン序盤から爆発力を発揮するタイプと言えそうだ。

結果を残すことが早いという意味では、山川が今季放った4本のアーチは、全て3球以内に仕留めたものだ。3月29日のオリックスとの開幕戦(京セラドーム大阪)で決勝弾となった移籍後1号ソロは1ボール1ストライク、2号満塁弾は2ストライク、3号満塁弾は1ストライク、4号3ランは1ボールからだった。4本のうち、2号(スライダー)を除く3本は真っすぐ。今季の打率は2割3分、真っすぐには3割1分で強い。

◆投球コース25分割で見えたこと…次ページ

データを見ると意外な事実も浮上した。投球コース別の打率。ストライクゾーンを9分割(周囲のゾーン外を含めれば25分割)したうちの〝ど真ん中〟は9打数無安打だ。〝ど真ん中〟から一つ外れた真ん中の高さの外角は10打数5安打の打率5割で2本塁打、真ん中の高さの内角は12打数6安打の打率5割(本塁打はゼロ)、真ん中低めは4打数2安打、打率5割、1本塁打とよく打っているだけに、不思議だ。またゾーン内の外角低めも4打数無安打で打てていない。

本塁打と打点の2冠王に輝いた22年は〝ど真ん中〟を56打数18安打、打率3割2分1厘、4本塁打。ゾーン内の外角低めに至っては26打数16安打、打率6割1分5厘、6本塁打と驚異的な数字を残している。今季さらなる爆発を起こす余地が大いに残されているとも言えそうだ。

打点22は12球団トップ。ここぞの場面で大量点をもたらす強打で新天地のチームに大きく貢献しているのは確かだ。豪快な打撃から目が離せない。

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