ソフトバンク担当「1年目」記者が見た「自分が打てたら勝てた」プロ初スタメンで初安打を放った支配下「1年目」の悔しさ

20日のオリックス戦の2回無死一塁、プロ初安打となる右翼線二塁打を放つ緒方(撮影・穴井友梨)

◆記者コラム・タカ番24時

大歓声に鳥肌が立った。19日のオリックス戦(ペイペイドーム)でソフトバンクの山川穂高内野手(32)が放った本塁打。打った瞬間、ファンは立ち上がって喜び、ダイヤモンドを一周した後の「どすこい」パフォーマンスに球場全体が一体となっていた。私はこの日がタカ番として初出勤。初めて見たこの光景は忘れることはないだろう。

翌20日、それ以上に注目をした選手がいた。プロ入り初スタメンをつかんだ育成出身の緒方理貢外野手(25)だ。

2021年に育成ドラフト5位で入団し、開幕直前に川村友斗外野手(24)、仲田慶介内野手(24)とともに支配下登録された。

開幕18試合目でつかんだチャンス。2回に右翼線ギリギリの飛球をダイビングキャッチして守備で見せると、その裏に回ってきた第1打席でいきなり右翼線を破る二塁打を放った。

ほぼ360度、ファンに囲まれた中でのプロ初安打。うれしかったに違いない。そう思っていた。

翌21日、緒方に話を聞いた。ただ、口ぶりは重かった。「うれしいという気持ちはない」。5回、6回には満塁の好機で打席に立ったがいずれも空振り三振。ソフトバンクは3―3で引き分けた。支配下1年目の25歳は「自分が打てたら勝てた、それしかない」と淡々と答えた。

結果を残せなければ生き残れないのがプロ野球の世界。その厳しさを垣間見たような気がした。タカ番1年目。読者に有益な情報を届けるという結果にこだわっていきたい。(大橋昂平)

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