ぬ~べ~?忍空?奇面組? 再アニメ化したら“盛り上がり”必至「ジャンプ黄金期名作」漫画を辿る

画像は映画3作品を収録した『地獄先生ぬ~べ~ THE MOVIE』DVDより

令和を迎えた昨今、『週刊少年ジャンプ』(集英社)が全盛を誇った1980年代中盤〜1990年代中頃の、いわゆる「ジャンプ黄金時代」の人気漫画がたて続けに再アニメ化され話題となっている。

たとえば、2020年に2度目のアニメ化となった『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』は、クオリティの高さもさることながら、前回アニメ化の際にはできなかった原作漫画の最終話までの映像化を果たしたことでファンを喜ばせた。そして、2023年7月に“ノイタミナ”枠で再アニメ化された『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』は、2024年10月から第2期が放送予定だ。

劇場用作品に目を向ければ、2022年に公開された『THE FIRST SLAM DUNK』は異例の大ヒットを収め、2023年9月には『劇場版シティーハンター 天使の涙』も公開。

さらに、2024年7月からは『キン肉マン』が『キン肉マン 完璧超人始祖編』のタイトルで3度目のアニメ化が予定されており、『北斗の拳』も連載40周年記念としてアニメ新シリーズの制作が発表されている。

こうした流れにファンからは「今って昭和じゃなく令和だよね?」と驚きの声もあがっているが、まだまだヒットの可能性がありそうな作品が山ほどあるのが『ジャンプ』のすごさ。

そこで今回は、再アニメ化したら盛り上がりそうな「ジャンプ黄金時代」の漫画をいくつかおさらいしたい。

■「俺の生徒に手を出すな!」鬼の手を持つ頼もしい先生…『地獄先生ぬ~べ~』

1993年から『週刊少年ジャンプ』での連載がスタートし、1996年にテレビアニメ化されている真倉翔さん、岡野剛さんによる漫画『地獄先生ぬ~べ~』も、現代でのリメイク向きの作品のひとつではないだろうか。

同作は、“鬼の手”を持つ小学校教師・鵺野鳴介(ぬ~べ~)が、妖怪や悪霊を退治する物語で、コミックス発行部数2000万部以上を記録した人気作。今も昔も変わらない子どもたちの「怖いもの見たさ」を刺激する本格的な“最恐”エピソードの数々が何よりも魅力で、原作終了後も夏休みの「子どもアニメ大会」などで再放送されるたびコミックスが売れた。

同作は、オカルトやアクション以外にも、友情、勇気、ギャグ、ラブコメ、さらには現代ではギリギリであろうお色気など、バラエティ豊かな内容のため、アニメでも幅広い要素が楽しめる。登場人物も魅力的で、なかでも人間の姿(玉藻京介)が銀髪イケメンな妖狐・玉藻に女性ファンは夢中になったし、鵺野への一途な思いが可愛い雪女・ゆきめの人気は今も絶大だ。

アニメ放映時はまだ原作漫画の連載が続いていたため、もしも再アニメ化した場合は、最後のエピソードまで映像化されるはずだ。また、FEEL SO BADによる主題歌『バリバリ最強NO.1』やB'zのエンディング曲『ミエナイチカラ ~INVISIBLE ONE~』など、楽曲の再起用も当時のファンは気になる点だろう。

■アニメと漫画ではかなり違う?あの忍者漫画に影響を与えた人気作…『NINKU-忍空-』

『ぬ~べ~』と同じく、1993年から『週刊少年ジャンプ』で連載された桐山光侍さんの『NINKU-忍空-』も、1995年のテレビアニメが大人気を集めた作品だ。

架空の武術「忍空」の使い手たちの活躍を描く同作。主人公・風助は小柄な少年で、丸い顔と大きな目、いつも舌を出す姿は正直カッコよくはない。ところが、その正体は大戦で活躍した“干支忍”の一人「子忍」で、戦いともなれば規格外な強さを見せるのだ。

1995年のアニメで描かれたのは、原作とは違ったオリジナルのエピソード。アニメは1年以上(55話)も続いているが、原作のストック不足のため、実は当初からオリジナル内容での制作が決まっていたという。

一方の原作は、何度かの休載を重ねた後、1995年から連載が休止状態に。それから10年後の2005年から集英社『ウルトラジャンプ』で『忍空 ~SECOND STAGE 干支忍編~』として再開。2011年には完結しているため、もしも再アニメ化された際には原作ストーリーの補完という点も注目となる。

なお、『NARUTO-ナルト-』の作者・岸本斉史さんは本作のファンであることを公言しており、「NINKUの続きが読みたくてNARUTOを描きました!」のメッセージを添えた風助とナルトのイラストを寄稿。さらに、2015年『ウルトラジャンプ』7月号では「忍空とナルトのコラボアニメを作りたい」とラブコールを送っている。後の作品にも影響を与えた、ジャンプ史の名作である『忍空』。再アニメで令和の子どもたちにその面白さを伝えてほしいばかりだ。

■膨大なキャラクターはダジャレとパロディ満載の名前で判別!…『ハイスクール!奇面組』

少し世代が遡り、80年代にも『ジャンプ』の名作アニメは多数生まれたが、ギャグ作品でいえば1985年から約2年間にわたって放送されたアニメ『ハイスクール!奇面組』のファンだったという人は多いだろう。

同アニメは新沢基栄さんによる1980年から連載された『3年奇面組』と1982年から連載された『ハイスクール!奇面組』を原作としたアニメ。個性の強い顔を持つ「奇面組」リーダー・一堂零が、さまざまな名物集団と対決するコメディ作品だ。

本作の特徴のひとつが、キャラクター名がそれぞれのチームに関連した“ダジャレ”であることで、たとえば体育会系の「腕組(うでぐみ)」のリーダー・雲童塊(うんどう・かい)は「運動会」のダジャレ。ところが、「色男組(いろおとこぐみ)」の頼金鳥雄(たのきん・とりお)は「たのきんトリオ」のダジャレで、「婦組(ふくみ)」の子役締ひろ(こやくしまる・ひろ)と、松茂問代(まつも・といよ)はそれぞれ当時人気だった薬師丸ひろ子さんと松本伊代さんのダジャレだが、アニメでもそのまま使われていたというから驚きだ。

非常にキャラクターが多いが、それぞれの性格付けやエピソード、プロフィールも決められているため、感情移入のできる“推しキャラ”が生まれやすく、なんなら集団ごとの“箱推し”も楽しめる。

また、アニメ主題歌・挿入歌には、当時のアイドルグループ『おニャン子クラブ』の派生グループ『うしろゆびさされ組』などを起用。多くの楽曲がヒットして、コラボの成功例となったアニメ作品でもある。現代アレンジするのに、まさにピッタリな作品であるとも言えるだろう。

とはいえ、約40年前の作品で、当時のパロディなどは今の子どもにはわからない可能性が高いため、再アニメ化する際には“令和バージョン”にも期待したい。

今回紹介した3作品以外にも、「男の娘」という概念がなかった時代に人気となった江口寿史さんの漫画『ストップ!!ひばりくん!』、現在の“戦う変身美少女チーム”より十年以上も前に「ウイングガールズ」が登場していた、桂正和さんの変身ヒーロー漫画『ウイングマン』(アニメ版は『夢戦士ウイングマン』)など、現在の流行を先がけしていた作品は多い。

こうした色褪せない作品たちが持つ魅力を、再アニメ化でまた楽しみたいものだ。

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