FL5型シビックRに乗る伏兵が3戦2勝の金星。新王者も今季初勝利/TCRオーストラリア第3戦

 裁定のドタバタ劇が続くTCRオーストラリア・シリーズは、4月12~14日にフィリップアイランドで第3戦が開催され、土曜レース1は2022年王者かつポールシッターでもある“渦中の人”トニー・ダルベルト(FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ホンダ・レーシング・チーム・ウォール)が、オープニングラップの波乱で勝機を逸して新王者ジョシュ・バカン(ヒョンデi30 N TCR/HMOカスタマー・レーシング)が今季初勝利を手にすることに。

 続く日曜は、結果的にダルベルトを“撃墜”するかたちとなっていたブラッド・ハリス(FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR/エクスクルーシブ・スイッチボード・ウォール・レーシング)が覚醒し、連勝の“金星”を挙げている。

 前戦3月中旬開催のシモンズプレイン・レースウェイにて、赤旗短縮レース1の裁定を巡って抗議の応酬が続き、レース3を欠場する事態となっていた元王者ダルベルトだが、レースウイーク後の控訴を検証してきたシリーズ統括団体のモータースポーツ・オーストラリアは、この第3戦を前に「ダルベルトはレース2が開催された時点で、レース1の結果が確定していないことを知っていた」と主張。改めて当時のスチュワードの判断は正しかったとその決定を支持し「我々は控訴人からの訴えを棄却する」とした。

 この裁定に奮起したか、このフィリップアイランドに向け「心機一転、新たなマインドセットで望む」としていたホンダのエースは、今季よりQ1、Q2のステージ方式に変更された予選で2戦連続のポールポジションを射止めた。

 迎えた土曜最初のレース1は、週末のスケジュールの遅れにより“ふたたび短縮されたレース”となるなか、オープニングラップでそのポールシッターがまさかのトラブルに見舞われる。

 フロントロウに僚友ハリス、2列目3番手に王者バカンが並んだスタートでは、ターン1の攻防でハリスのインを刺したバカンが「残されたスペースがなく」接触。その反動で、アクアブルーの74号車はパープルのファクトリースキームをまとう2号車に衝突し、FL5型ホンダ・シビック・タイプRが同士討ちを演じることに。

“渦中の人”トニー・ダルベルト(FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ホンダ・レーシング・チーム・ウォール)が、レース1オープニングラップの波乱で勝機を逸することに
新王者ジョシュ・バカン(ヒョンデi30 N TCR/HMOカスタマー・レーシング)が今季初勝利を手にすることに

■レース2では“裁定が覆されて”の今季初勝利も

 これでレコードラインの空いた王者バカンが悠々と首位の座を手に入れ、ザック・スーター(アウディRS3 LMS 2/タフリスト・レーシング)や今週末より新カラー採用のディラン・オキーフ(リンク&コー03 TCR/オートグリム・アシュリー・シュワード・モータースポーツ)らを従え、ここから9周を走破してのトップチェッカーを受けた。

 最下位に転落したダルベルトに対し、弟のウィル・ハリス(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/エクスクルーシブ・スイッチボード・ウォール・レーシング)を抑えて9位でフィニッシュしていたブラッドは、前戦トップ10リバースグリッドのフロントロウを兄弟で分け合うかたちで日曜レース2を開始する。

 そのスタートではアーロン・キャメロン(プジョー308 TCR/チーム・バルボリンGRM)と絡んで出遅れた弟の“サポート”もあり、兄ブラッドが快走。最後は右フロントタイヤの破損で最終コーナーにクルマを停めたオキーフのアクシデントによりセーフティカー(SC)も出動し、先導走行のままゴールラインを通過。フィニッシュ直後はジャンプスタートよりブラッドにペナルティが科せられる一幕があったものの、その後に裁定が覆され今季初勝利を取り戻した。

 これで週末最終ヒートの最前列スタートも確保したブラッドは、スタート直後こそクレイ・リチャーズ(クプラ・レオン・コンペティションTCR/カール・コックス・モータースポーツ・チームMPC)に先行を許すも、2周目にポジションを奪還してからは危なげないドライビングを披露。3周目に背後へ浮上してきた世界戦経験者ベン・バルグワナ(プジョー308 TCR/ハンチャ・レーシング)や王者バカンのヒョンデを抑えての連勝を飾ってみせた。

 これでバルグワナが首位に立ち、アウディのソーター、王者バカンが追う展開へと変わったTCRオーストラリア・シリーズ。続く第4戦は6月1~2日に“ザ・ベンド”こと旧タイレムベンドで争われる。

ブラッド・ハリス(FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR/エクスクルーシブ・スイッチボード・ウォール・レーシング)が日曜の2ヒートで快走
世界戦経験者ベン・バルグワナ(プジョー308 TCR/ハンチャ・レーシング)や王者バカンのヒョンデを抑えての連勝を飾ってみせた

投稿 FL5型シビックRに乗る伏兵が3戦2勝の金星。新王者も今季初勝利/TCRオーストラリア第3戦autosport web に最初に表示されました。

© 株式会社三栄