南砺平高、25年度入学から全国募集 富山県立高校初、特色ある部活生かし生徒確保

2025年度の入学者分から全国募集する南砺平高校=南砺市大島

 南砺平高校(富山県南砺市大島、北野幹昌校長)は、2025年度の入学者分から全国募集を開始する。県立高校では、生徒の移住を前提とした県外からの受け入れは認められておらず、初めての導入。少子化の影響で受験生の定員割れが続く中、特色ある部活動の魅力を打ち出し、生徒確保につなげる。募集定員や選抜方法は「検討中」としている。22日に県庁で開かれた県教育委員会の定例会で決定した。

 南砺平は、全国大会で最優秀賞に輝いた実績のある郷土芸能部や、五輪出場選手を輩出したスキー部などがあるものの、近年入学者の定員割れが続く。普通科30人の定員に対し、2023年度は合格者数が23人、24年度は16人だった。

 南砺市は23年7月、全国募集の開始を求める要望書を県教委に提出。11月に地域住民らで構成する準備会を設立し、受け入れ体制などを検討してきた。生徒は平日は高校の寮、週末と夏休みなどの休業期間は下宿先(ホストファミリー)で生活する。現時点で下宿先を3軒確保しており、生徒6人程度を受け入れられる見通し。今後も受け入れ先を募集する。

 定例会で県教委は「地域と密着した魅力と活力ある教育活動の門戸を、希望する県外生徒に広げることは意義がある」と提案。委員6人全員が賛成した。牧田和樹委員は「持続可能性が懸念として残る」と指摘。下宿先を継続して確保することや、高校の魅力発信の充実などを求めた。

 県教委によると、一般財団法人「地域・教育魅力化プラットフォーム」の留学生支援事業「地域みらい留学」に同校を登録した。今後、オンラインなどで募集を周知していく。

38道府県が全国募集導入

 県教育委員会が2023年8月に行った調査によると、23年度の入学者選抜試験では38道府県の公立高校で、生徒を全国から募集した。未実施の9都府県は東京、神奈川、大阪、愛知などの大都市圏が中心で、人口200万人以下の県では、富山と福島のみだった。

 全国募集している公立高校は、21年度が全国277校、22年度は302校、23年度は325校に増えた。一方、定員割れを起こしている学校も多く、23年度は82%に当たる269校で入学者数が定員を下回った。効果的な情報発信や、教育内容の差別化などが課題となっている。

南砺平高校の全国募集を決定した定例会=県庁

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