バスケB2【ファイヤーボンズ奮闘の10年】攻めの改革、試練多く

シーズン途中で指揮を執り、チームの立て直しを図った栗原HC(中央)。クラブ創設10周年の節目の年は苦しいシーズンとなった=4月、円谷幸吉メモリアルアリーナ

 バスケットボール男子Bリーグ2部(B2)の福島ファイヤーボンズは創設10年の今季、レギュラーシーズンを24勝36敗の東地区7チーム中5位で終え、B2に残留したが、3季連続でのプレーオフ(PO)進出を逃した。今季の戦いぶりや積み上げてきた成果と課題を振り返り、B1昇格への鍵を探る。

 ■監督交代、守備立て直せず

 「POを勝ち抜くチームにステップアップするには革新が必要」。チームを運営する福島スポーツエンタテインメントの西田創社長は、2季連続でPO初戦敗退となった昨季終了後、クラブ創設10周年の節目を迎えるチームに大きな改革を打ち出した。

 昨季終盤にアシスタントコーチ(AC)として加入したエンリケ・スニガ氏がチーム初の外国人指揮官としてスーパーバイジングヘッドコーチ(SVHC)に就任。メキシコ代表のトップやユースチームで指導経験があり、守備に重きを置いた成長できるチームづくりを見込んでいた。

 メンバーも大幅に入れ替わり、若手を中心に計8人が加入。成長に対する向上心や守備への意識が高い選手を選んだ。新たな顔触れで目指したのは守備から攻撃の流れをつくり、速いテンポで攻撃を仕掛けるスタイル。しかし、開幕を迎えると一つのクオーターで30点前後奪われる試合が続き、5戦目から5連敗を喫するなど、肝心の守備が機能しなかった。

 栗原貴宏ヘッドコーチ(HC)は原因として「守備でのチームルールがあいまいだった」と指摘した。一つの例として、チームは中央からと、左右から来る攻めに対し、異なる守り方をしていた。しかし、その境目から攻められた際、どちらで守るのか不明確だったという。

 成績不振から12月下旬にスニガSVHCを解任し、ACの栗原氏がHCに昇格した。シーズン途中での指揮官交代は初めてのことだった。まずは守備の立て直しを図り、攻めてきた方向に付いていくシンプルな方法へと変えた。しかし、シーズン中にチームルールを構築するのは容易でなく、「ローテーションやヘルプなどを(チームルールに)落とし込めなかった」と栗原HC。B2残留は決めたものの、状況を好転させることはできなかった。

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