向井理 「似合っていない」制服警官役に苦笑い 詐欺師役と一人二役難役のお手本は手塚漫画

 警察官と詐欺師の一人二役に挑戦する向井理(撮影・棚橋慶太)

 俳優・向井理(42)が、正義と悪の役柄を演じきるために内面を磨いている。テレビ東京系「ダブルチート 偽りの警官 Season1」(4月26日スタート。金曜、後8.00)で警察官と詐欺師の一人二役に挑戦。制服を着る交番勤務の警察官役について「あまり着たことがなかったので、似合ってはいない気がします」と笑う。難しい2面性のある役どころを演じるために意外な人物をお手本にし、役作りへの鍛錬を重ねていることを明かした。

 これまでに演じてきたスーツでビシッと決め、悪人を追い詰める刑事役とは違う。今回は商店街の交番勤務の真面目で頼られる巡査役を演じる。制服警官の役柄は経験した記憶がないという。

 「教科書みたいなものがなく、謎な役柄なんです。リアルな感じを出すために、どうするかを僕なりに課題にして、自分の中でチャートにするぐらい工夫しながらやっています。その職業がしっかりと生きていると思わせたい」

 演じる上で教材にしている作品がある。手塚治虫氏の漫画「七色いんこ」。どんな役柄でも演じられる天才役者の話だ。「演劇の話なんですけど、すごい好きで、イメージとして違う役をしっかりやっていくっていうことの方に重きを置くというか。もう本当に今回は内面的な部分であったり、その職業、イメージの部分で、一話一話、違う人を演じ切れられれば、ゴールが見えてくるのかなって、台本を読んでいます」。名著を参考にしながら、役柄へと向かっている。

 警察勤務後は裏の顔、詐欺師へと転身する。「あの人が詐欺師だって思われたら詐欺師ではあり得なくなる」。相容れない役柄への切り替えの難しさがあるというが、生きた教材にしているのが、世間一般の子どもたちであり、自身の息子だという。

 「見られているって意識が一番ない存在だと思うんですよ。日常生活を切り取るのがドラマとするなら一番、持っていてはいけない意識って、見られてるってことですよね。持っていないのは子供なので、すごい見ています。本当に勉強になります」

 自身の性格について「理系の脳みそ」と分析する向井は「もう学生生活でも、嫌というほど調べる癖がついているんです。細かいなっていうほど。知的好奇心があるかもしれません」と、とことん生態観察をして役へと生かす。

 日常から詐欺の時事ニュースには感心を持っていたが、より深く見るようになった。「流し見してきたニュースも、もうちょっと詳しく調べて、積極的に見るようにしていますね」。2面性のある難役をこなしきるために、日常から強いアンテナを張っている。

 ◆向井理(むかい・おさむ)1982年2月7日生まれ。神奈川県出身。明大卒。06年に「白夜行」でテレビドラマデビュー。NHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」でヒロインの夫・茂役を演じ注目を集める。「S-最後の警官-」「10の秘密」「婚活探偵」など主演作多数。23年にはフジテレビ系「パリピ孔明」で三国志の諸葛孔明を演じた。趣味・お酒、料理、キャンプ。特技・サッカー。血液型O。妻は女優・国仲涼子。

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