IT人材 バングラデシュから長崎に 日本語学び、来日して研修 宮崎の先進プログラム活用

バングラデシュ IT人材確保プログラム

 長崎県は、不足するIT人材をバングラデシュから呼び込む体制を産学官連携で構築しようとしている。日本語を学んでから来日し、大学研修を経て企業に就職する宮崎県の先進プログラムを活用。マッチングに参加する本県企業を募集している。経済成長著しい親日国から優秀な人材を安定的に採用できるようにし、企業誘致や地場企業の海外展開につなげる。
 もともと国際協力機構(JICA)が2020年までの約3年間実施した技術協力プロジェクト「B-JET」で、修了生265人のうち186人が日本で就職した実績がある(宮崎県内就職は54人)。21年からは宮崎大と首都ダッカの名門私立ノース・サウス大が連携協定を結び、事業を引き継いだ。
 日本語試験などの選考を通った人材が、ノース・サウス大で5カ月間、日本語・文化やビジネスマナー、情報通信技術(ICT)を受講する。その後、日本のIT企業と面談。内定すれば、留学生として来日し、宮崎大で日本語力をさらに磨き、内定先企業でのインターンシップ(就業体験)にも臨む。入社時には就労ビザに切り替える。
 この仕組みを本県に取り入れ「長崎モデル」をつくる。B-JETの渡日前教育を修了した人材と、本県の誘致企業や地場企業をマッチング。内定者を長崎大に4カ月間留学させた後、企業で受け入れる。
 県は4月末まで参加企業を公募中。オンライン面談や現地マッチング会(6月)を予定している。紹介手数料は人材1人当たり140万円程度。長崎市内の企業には市の補助がある。

バングラデシュのIT人材確保プログラムに関する説明会=県庁

 県が18日に開催した説明会には、外国人採用に関心のある県内19社が参加。JICAバングラデシュ事務所の市口知英所長が同国の現状を報告した。
 それによると、人口は世界8位の1億7千万人。11年以降はほぼ毎年、経済成長率が6%を超えている。平均年齢28歳と若く、豊富な労働力や政治の安定を背景に、生産拠点や消費市場として発展が見込まれる。日系企業の進出が急増し、22年は302社に上った。
 市口氏は「穏健なイスラム教国で世界有数の親日国。国民は真面目で勤勉、他人に優しい」と紹介。「日本のIT人材不足は深刻だが、バングラデシュは豊富」と採用検討を勧めた。

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