日本ハムはなぜ好調?裏付けのある躍進に新庄監督「驚きはないかな」 宣言通りの「セコセコ野球」が機能

7回、選手交代を告げる新庄剛志監督=エスコンフィールド北海道(撮影・中島達哉)

 昨季まで2年連続最下位の日本ハム。今季はここまで18試合を終えて10勝7敗1分で2位と順調なスタートを切った。チーム打率は・221、得点51はともにリーグ5位。チーム防御率2.74は同5位、失点57は同4位。これだけ見ればBクラスの成績。では、なぜ“躍進”しているのだろうか。

 昨季と明らかに違うのは、接戦の強さだ。1点差試合は昨季の17勝31敗に対し、今季は4勝無敗。象徴する試合は12日のオリックス戦(京セラ)。六回に五十幡がチーム初安打で出塁。二盗の際に捕手の悪送球があり三進。郡司の三ゴロの間で生還。単打1本で決勝点を奪い、1-0で勝った試合だ。

 新庄監督は「こういう勝ち方をしてくれるだろうなとシーズン最初に思っていたので、そんなに驚きはないかな」と振り返った。

 就任以来、目指してきた野球が「1点を守る野球」。ここまではそれが実践できている。開幕戦前日には「今年はセコセコ野球でいきます」と話していた。少ない好機を盗塁や犠打、エンドラン、進塁打で走者を進め、「相手が防ぎようのない1点」を奪う。「1点取って、金村君、河野君、正義君に繋いで勝てばね」と盤石の救援陣につなぐ野球だ。

 そんな野球を実践できるのは、選手の成長にある。「本当のレギュラー争いですよね。去年は1軍争いだったけど、今年はレギュラー争いしている。ポンって突き抜けた選手がいたら変えないし」。その象徴的な存在が遊撃を守る水野だ。

 内野守備の難しいエスコン。10日の西武戦では源田が、16日のソフトバンク戦では今宮が、いずれも名手と言われる遊撃手が失策を記録した。水野はここまでエスコンでは無失策。「打つ打たないよりも守備。すごくいいので。守り勝つという意味でも彼は外せない存在になりつつありますね」と明かす。

 「やりたかった野球ができている手応えがあるか」と問われて、こう話した。「全然ありますね。追い付かれても守り勝っていけるんじゃないかな?って。先制されても追い付いてくれる。プレーするのは選手なので、選手がそういう気持ちになってくれるのが1番」と笑顔を見せた。

 選手会長の松本剛は「ゲームの流れを読むというか、こういう風にしたいと口で表現する選手が増えてきているので、いい傾向にあるのかなと思います」とベンチ内の変化を口にする。万波は「毎回新鮮な気持ちで喜べる。ほんとに嬉しいですし、かなりタフな試合を勝ってることが多いので、チームで戦ってるなって感じもします。何より勝った後みんな明るいんで。やっぱり精神衛生上いいっすね。マジで。ファンもほんとに喜んでくれてるなっていうのは感じるんで、またまた積み上げたいなと思ってます」と目を輝かせる。

 「面白いチームになってきてるし、本当強いチームになってきてますよね」と新庄監督は手応えを口にする。上位争いよりも「1試合1試合、みんなで勝つという気持ち」。裏付けのある躍進。決して春の珍事ではない。

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