長崎・小浜出身のデザイナー 故・城谷さんの企画展 波佐見焼の器など200点 東京

城谷さんがデザインした波佐見焼の器などが並ぶ企画展=東京ミッドタウン・デザインハブ

 長崎県雲仙市小浜町出身のデザイナーで、2020年に52歳で死去した城谷耕生さんがイタリア留学中に学び、小浜町を拠点に実践したというデザイン思想「PROGETTAZIONE(プロジェッタツィオーネ)」をテーマとした企画展が東京都港区の東京ミッドタウン・デザインハブで開かれている。城谷さんを中心に、テーマに関連した全国各地のデザイナーらの作品を展示している。5月6日まで。
 公益財団法人日本デザイン振興会の主催。プロジェッタツィオーネのデザイン思想は「企業の利益よりも社会性のある創造と市民全般への教育を使命とする」という。
 城谷さんは1990年代のイタリアでプロジェッタツィオーネの巨匠エンツォ・マーリさんらから学んだ後、2002年に小浜町に拠点を構え、「もののデザイン」だけでなく、過疎化が進む同町刈水地区の活性化といった「地域のデザイン」にも取り組んだ。
 会場には、城谷さんがデザインした波佐見焼の器や家具など200点近くを展示し、プロジェッタツィオーネを「故郷の小浜町に忠実に移植し開花させた」という仕事ぶりを振り返った。城谷さんは同地区で13年にショップ&カフェ「刈水庵」をオープン。九州の伝統工芸の職人と交流し、クリエイターらが同地区に移住する流れをつくるなどした経緯も紹介した。
 同展を企画した一人で、イタリア在住中に城谷さんと親交を結んだデザイン・建築関係のライター、田代かおるさん=東京都=は「城谷さんの作品と併せ、実践したプロジェッタツィオーネの思想やプロセスを伝えていければ」と話した。

© 株式会社長崎新聞社