路線バス廃止457・19キロ 広島市から愛知県豊橋市までの距離に相当 中国地方2023年度 運転手不足も要因

多くのバス会社が乗り入れる広島市中心部。運転手不足による減便もある

 中国地方で2023年度に廃止となった路線バスが457・19キロに上ることが中国運輸局のまとめで分かった。広島市から愛知県豊橋市の直線距離に相当する。3月末での廃止は282・69キロと6割を占めた。今月1日からバス運転手に残業の上限規制が適用されており、運輸局は運転手不足も要因とみている。

 23年度の廃止路線は、22年度よりも131キロ長い。過去10年では5番目の長さだ。最長は18年度の542・24キロ。廃止路線は10年間で計4163・89キロに達し、広島市からバングラデシュの首都ダッカの距離に当たる。

 23年度の県別は、山口が最も長く151・02キロ。他の4県は広島が139・68キロ、島根118・26キロ、鳥取45・18キロ、岡山が3・05キロで続く。届け出が毎年必要な路線休止は5県で計305・22キロと、前年度よりも約33キロ長い。

 廃止の届け出は、道路の開通に伴う経路変更や乗り合いタクシー事業者への移管なども含むが、バス運転手の減少も大きい。

 中国バス協会によると、5県のバス運転手は23年12月末で6504人と5年前と比べ1093人(14・4%)減った。中国バス(福山市)が三次市で昨年6月まで運行していた「甲奴―三次線」など、廃止の理由に運転手不足を挙げた路線も少なくない。運転手不足による減便も多く、広島都市圏では23年4月、5社12路線で280便減った。

 今月1日にトラック運転手などに適用された残業の上限規制はバス運転手も対象で、「2024年問題」として人手不足が懸念されている。運輸局は「廃止の理由は複合的だが、24年問題を控えた運転手不足も大きな要因だろう」としている。

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