【ソフトバンク】ドラ7藤田悠太郎〝プロの壁〟痛感も…みなぎる向上心「いい緊張感の中でできている」

「甲斐2世」の期待も高いソフトバンク・藤田悠太郎 

夢のプロ野球選手になった新人が、最初の試練を迎えている。とりわけ高卒ルーキーは1年目の春から活躍できるのは稀で、のちに一流となる選手もまずプロの壁にブチ当たる。高校通算43本塁打をマークし、「甲斐2世」との呼び声も高いソフトバンクのドラフト7位・藤田悠太郎捕手(18=福岡大大濠)もファームで現実の厳しさを痛感する毎日だ。高卒ルーキーはどんな思いで鍛錬を積んでいるのか。18歳の胸中に迫った。(取材構成=紺藤英二)

――4月21日現在、二軍戦は1試合で1打数無安打、三・四軍戦は16試合で26打数1安打。ここまでの心境の変化は

藤田悠 プロ入り直後は浮き足立っていた。自分だったら〝いける〟とか、そういう自信過剰の面があった。2月のキャンプでは三軍、四軍のC組だったけど、そこでもレベルの差というものを感じた。ホントに体力の面でもまだまだです。キャンプが終わってから遠征続きだったけど、やっぱり自分の実力、技術のなさを痛感した。悔しい試合も経験したし、まだまだ経験すると思うが、そういうところは歯を食いしばって頑張らないといけない。引き締まったいい緊張感の中でできている。

――現在のトレーニング内容は

藤田悠 四軍として練習の日にはしっかり打撃とランニング、体づくりの面も加味してのメニューです。打撃練習では数を打ったり、数を振ったりすることでスイングの強さを出すことが目的。体力的にもバットを振るっていう力がない。守備の面では的山バッテリーコーチや、いろいろな方々に指導を受けながら、ブロッキングの練習だったり、自分のやりたいことができている。自分の課題は守備とかいろいろあるので、試合に対してのアプローチの仕方はいい練習ができている。

――1年後や3年後はどんなイメージを

藤田悠 この1年でしっかりと体づくりや体力面での差を埋めていきたい。そのためには毎日頑張らないといけない。1年後には二軍でしっかり帯同して、いつでも一軍に上がれるような選手になっていたい。高いところを意識しながら自分がやれることをやっていこうと思う。

――高校通算43本塁打を誇り、正確なスローイングが光る

藤田悠 43本打ったけど、そういった打者ではないとずっと思っていた。バットも木製に変わってから、バランスの難しさも感じている。ホームランバッターになろうと思うことの方が難しい。自分はしっかりアベレージを残せるような打者になって間を抜いたり、右方向に低い打球を打ったりとかしたい。最低打てないと試合には出られないと言われているので。守備ではノーミスとか自分ができることをしっかりやっていく。スローイングが武器なので、そこをアピールしていきたい。

――城島健司会長付特別アドバイザー兼シニアコーディネーターが筑後を訪問した際のやり取りは

藤田悠 「君の長所はなんだ?」と聞かれて、「正確なスローイング。肩です」と言った時に、「じゃあ、それを他の人に負けないようにしっかり練習しなさい」と言われた。そこはしっかり伸ばしつつ、やっぱりホントに打てないと試合に出られない。意識しながらやらないと技術も向上しないと思うので、そこを頑張っていきたい。

――同期のドラ1左腕・前田悠伍投手(18=大阪桐蔭)のシート打撃の際、捕手として投球を受けたり、対戦した印象は

藤田悠 高校生じゃ打てないような球だった。全部の球で打ち取れるイメージができるので、捕手で受けていても配球しやすい。特にいいのは真っすぐ。本当にキレも伸びもすごくある。周りの打者の反応とか見てても、ホントに差し込まれていたのが多かった。コントロールもいいし、自分も打席に立った時にびっくりするくらい、いい球がきていた。自分が思っていたよりも上のレベルだなというのが率直な意見です。

――売店でのグッズ人気も高いが、応援してくれるファンや家族に対しての思いは

藤田悠 心の支えになってくれるのが家族。第一のファンだと思います。両親と姉に感謝の気持ちでいっぱいです。ファンの方たちも自分が練習した後に「頑張ってね」と温かい言葉をいただくので、自分も頑張らないといけないなと思います。ホントにプレーするのが好きなので、ハツラツとしたプレーを意識してます。

☆ふじた・ゆうたろう 2005年6月3日生まれ。福岡県糸島市出身。身長170センチ、体重75キロ。右投げ右打ち。小学3年で野球を始め、糸島市立前原中学時代には硬式野球のクラブチーム糸島ボーイズでプレー。福岡大大濠高に進学し、1年夏までは一塁手も同年秋に捕手へ転向した。強肩強打が持ち味で高校通算43本塁打をマークし、二塁送球タイムは1・8秒台と世代トップクラスを誇る。キャプテンシーもあり、底知れぬ伸びしろが魅力。背番号65。

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