会員数8600万人の巨大経済圏「新生Vポイント」始動 決済手段の連携、企業の統廃合でポイント市場さらに激化

カルチュア・コンビニエンス・クラブのTポイントと三井住友フィナンシャルグループのVポイントが統合し、新たなポイント経済圏が誕生した。新生Vポイントは、国内外の約1億店舗で利用可能となり、ポイント経済圏の拡大が消費者の買い物体験をどう変えるか注目される。

”ポイ活”活性化に期待

会員数8600万人の国内有数の規模を持つ、新たなポイント経済圏が誕生した。

ツタヤなどを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブのTポイントと三井住友フィナンシャルグループのVポイントが統合し、新たなポイント事業が22日からスタートした。

新生Vポイントは会員数が8600万人となり、これまでのTポイントの加盟店に加え、国内750万店舗、世界で1億店余りあるVisaの加盟店でもポイントを貯めることができる。

Tポイントは、他のポイント経済圏に比べ、決済機能面で遅れを取っていた一方、Vポイントは知名度に課題を抱えていた。

先行する携帯4社では、NTTドコモがアマゾンでの買い物でdポイントが貯まるサービスを始めたほか、楽天も決済アプリの統合を発表するなど、激しい競争が続いている。

今回のポイント統合で、いわゆる“ポイ活市場”に、風穴を開けられるのか注目される。

”便利なポイントシステム”気になる点も

「Live News α」では、エコノミストの崔真淑(さい・ますみ)さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
今回の統合、どうご覧になりますか。

エコノミスト・崔真淑さん:
ポイント経済圏の囲い込み競争が激化していることを示していると思います。実際、小売店や飲食店が、自社で販売促進のために行なっていたポイントサービスを廃止して、今回のVポイントなどの、他社が展開しているポイント経済圏に乗るという動きが加速しています。こうした背景には大きく2つの理由があると私は考えています。

堤キャスター:
具体的には、どういうことでしょうか。

エコノミスト・崔真淑さん:
1つは、ポイントの貯め方の変化です。今のポイントは、その利便性から決済手段と紐づくのが当然になっている。例えば、クレジットカード、スマホ、QRなど、さまざまな決済を行う際にポイントが貯まるようになっています。

そうなると、ある特定の店舗が展開しているポイントカードや、ポイントアプリで貯めるよりも、何か1つのポイントサービスに集約したいという方が増えているように思います。

堤キャスター:
さまざまなポイントカードなどが、スマホの中に集約されていった印象がありますよね。

エコノミスト・崔真淑さん:
もう1つは、ポイントが使える範囲の広がりです。今は商品やサービス交換だけでなく、光熱費、通信費用、さらには投資にも使える状況になっています。

使える範囲がどれだけあるかがポイントサービスの要であり、企業の統廃合を促す契機にもなっています。最近だと、KDDIがローソンにTOBしたのも、実はポイント経済圏の拡大を見越してともいわれています。

こうした動きは消費者としては嬉しいですが、マクロな視点で見ると気になる点もいくつかあります。

個人データ保全のあり方に注視

堤キャスター:
それは、どういうことでしょうか。

エコノミスト・崔真淑さん:
ポイント還元で割引を受けられるのは、実質的にはその分だけ購買価格は下がっているはずですが、物価指数にはそれは反映しきれていないという声があるんです。ポイント経済圏が広がるにつれ、政策で使うための消費者物価のトレンドが正しく反映できていない可能性が出てくるかもしれません。

もう1つは、個人の詳細なデータを1つの企業グループが抱えることです。適切なデータ活用、保全のあり方がますます注視されるのではないかと思います。
(「Live News α」4月22日放送分より)

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