CGRがタイヤ無交換作戦でキャデラックの同門対決を制す。GTD優勝はレクサス/IMSAロングビーチ

 4月20日、アメリカ・カリフォルニア州のロングビーチ市街地で、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第3戦『アキュラ・グランプリ・オブ・ロングビーチ』の決勝レースが行われ、チップ・ガナッシ・レーシング(CGR)が運営するキャデラック・レーシングの01号車キャデラックVシリーズ.R(レンガー・バン・デル・ザンデ/セバスチャン・ブルデー組)が優勝した。

 ロングビーチ・ラウンドは今季2024年もNTTインディカー・シリーズとの併催スタイルで実施され、予選が19日・金曜、決勝レースは土曜日の午後に行われた。

 定刻16時35分にスタートが切られた100分間のスプリントレースでは、前日の予選でクラッシュを喫しながらポールポジションを獲得した31号車キャデラックVシリーズ.R(ウェーレン・キャデラック・レーシング)がホールショットを奪う。一方、フロントロウに並んだ25号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームRLL)はスタートで若干おくれ、3番手からスタートしたブルデー駆る01号車キャデラックにポジションを奪われてしまう。

 その後方ではポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの6号車と7号車のポルシェ963が4、5番手で並んでいたが、40号車アキュラARX-06(ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ)と姉妹車10号車アキュラARX-06がポルシェ勢の間に割り込んだ。

 GTDクラスのレースは、バッサー・サリバンが走らせるレクサスRC F GT3ペアのワン・ツーで開始されたが、オープニングラップの最終ターン11で2番手12号車レクサスのインをついた32号車フェラーリ296 GT3(コルトフ/プレストン・モータースポーツ)が2番手に浮上。同車との軽い接触で速度が落ちた12号車はさらに2台のマシンに先行を許す。また、スタート時にレーンを移ったとしてドライブスルー・ペナルティが科され14番手まで順位を落としている。

GTPクラスのスタートシーン 2024年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第3戦ロングビーチ

 スタートから10分後、3台が1パックとなっていた総合2番手争いに動きがあり4番手の6号車ポルシェが25号車BMWをかわして3番手に。この直後GTDカー同士のクラッシュによってフルコースイエロー・コーション(FCY=IMSAではセーフティカーが出動する)が導入された。

 レース再開後、フィニッシュまで残り1時間05分となったところでニック・タンディ駆る6号車ポルシェが先陣を切ってピットへ向かった。これを皮切りに各車が、基本的に唯一となるピットストップを行っていく。スタートから首位を守るピポ・デラーニの31号車キャデラックとGTDクラスの首位を走る89号車レクサスも漏れなくピットインし、ドライバー交代をしてコースに戻っていった。

■前戦のウイナー、デレトラズがクラッシュ

 スタートから40分を前にしてブルデーがドライブする2番手01号車もピットへ。ここでCGRはタイヤ無交換作戦を敢行。これが奏功しバン・デル・ザンデはタイヤを換えた31号車キャデラックの前で戻ることに成功した。

 その後ターン1でルイ・デレトラズ駆る40号車アキュラがクラッシュを喫し2度目のFCYが入る。SCが隊列を先導するなか、第1スティントを引っ張っていた25号車BMWと5号車ポルシェもピット作業を行い5、6番手で復帰した。レース開始から1時間のタイミングで2度目のリスタートが切られた後は、しばらくGTP上位勢に動きがない状態が続く。

 ドラマ発生は残り22分のタイミングだった。2台のキャデラックに次ぐ3番手を走行していた6号車ポルシェが、最終ターン11で78号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(フォルテ・レーシング)にプッシュされる形でスピンを喫し、これにより多くのマシンが行き場をなくす状態に。インシデントに巻き込まれた25号車BMWは、ポルシェ6号車に行く手を阻まれたランボルギーニを押しのけた際にボディカウルを損傷し、ピットでの修復を余儀なくされる。その後コース復帰した25号車はターン6でクラッシュを喫し、このアクシデントで今大会3回目のFCYが導入される。

 レース再開は残り8分から。最終盤のリスタート後は01号車と31号車、チームが異なる2台のキャデラックの接近戦が繰り広げられる。姉妹車に代わって3番手に順位を上げた7号車ポルシェのフェリペ・ナッセも虎視眈々と前を窺うが、首位のバン・デル・ザンデがポジションを守りきりトップチェッカーを受けると、エイトケンの31号車これに続きキャデラックがワン・ツー・フィニッシュを達成。2台の“ワークス”ポルシェ7号車と6号車が3&4位で続いた。5位はプロトン・コンペティション・マスタング・サンプリングの5号車ポルシェ963だ。

 GTDクラスはピットアウト後も首位を維持したベン・バーニコート/パーカー・トンプソン組89号車レクサスが最後までリードを保ち見事、ポール・トゥ・ウインで今季初優勝(チームとしては前戦セブリングでのGTDプロクラスに続く2連勝)を達成した。クラス2位はピットで5番手から2番手に順位を上げたターナー・モータースポーツの96号車BMW M4 GT3。同3位には66号車アキュラNSX GT3(グラディエント・レーシング)を0.320秒差で抑えきった32号車フェラーリが入っている。

 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の次戦『モチュール・コース・ドゥ・モントレー』は5月10~12日、カリフォルニア州のウェザーテック・レースウエィ・ラグナ・セカで開催される。参加クラスは、今大会に出場したGTPとGTDにGTDプロを加えた計3クラスだ。

最終コーナーで発生したアクシデント。3番手を走っていた6号車ポルシェ963が、78号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2にヒットされスピンを喫した
GTDクラスのウイナーとなった89号車レクサスRC F GT3(バッサー・サリバン) 2024年IMSA第3戦ロングビーチ
GTDクラスの表彰式 2024年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第3戦ロングビーチ
トップチェッカーを受ける01号車キャデラックVシリーズ.R(レンガー・バン・デル・ザンデ/セバスチャン・ブルデー組) 2024年IMSA第3戦ロングビーチ
ウイナーズステッカーを01号車キャデラックVシリーズ.Rに貼り付けるセバスチャン・ブルデー(キャデラック・レーシング) 2024年IMSA第3戦ロングビーチ

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