知床沖での観光船沈没事故から2年 鎮魂と教訓 追悼式典に「知床遊覧船」桂田社長の姿はなし「お話しできる事は告発を受けてる身なので…」

追悼式典(23日午後1時 北海道斜里町)

北海道知床半島沖で観光船が沈没した事故から23日で2年です。

北海道斜里町では事故から2年を迎え、午後1時から追悼式典が行われました。
式典には、犠牲となった乗客の家族など40人など約150人が参加しましたが、沈没した観光船「KAZUⅠ」の運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長(60)の姿はありませんでした。

式典で斜里町の山内浩彰町長は「世界自然遺産の自然体験を楽しみにされ、訪れた知床で、楽しいはずの小型船での観光が一転、被害にあわれたみなさまの無念、また、最愛の人を突然失ったご家族にとってもあまりにも不条理で受け入れることはできなく、その悲しみ、苦しみ、憤り、怒り、湧き出る感情はたやすく言葉に表現できることではないことを思うと、どうにもやるせない気持ちでいっぱいになります」

「寄り添うという言葉の重み、気持ちの表し方の難しさをひしひしと、実感した2年でございました」

「このような事故が、知床の海で、山で二度と起きることがないよう、私たちは何をすべきか、安心して訪れてもらえる、魅力的な知床であるためになにをすべきか、あの事故から2年を経た今日、地域全体で、あらためてこの問いを繰り返し問い直し、安心安全を具体的に、ひとうひとつ積み重ねて実践していくことをここに誓います。私たちは忘れません。決して忘れることはありません」と式辞を述べました。

そして、式典に出席した乗客家族や関係者らが、黙とうを捧げました。

知床遊覧船事故被害者追悼式実行委員会の野尻勝規委員長は「事故の記憶は忘れることができないことであり、地元観光事業者にとっても、危機管理等安全管理の重要性をあらためて、思い知らされるものとなりました。今後、行政、観光協会、関係団体との連携による支援事務局を設け、体験型観光におけるリスクの洗い出しをおこない、実情に合わせた基準のルール化など、継続的な安全管理に努めてまいります」

「この度の事故で、尊い命をなくされた方々の思いを胸に、これから、知床を訪れる方たちを受け入れるうえで、安全の確保こそが最大の使命であるとの決意のもと、ここに安全の誓いをいたします」と、安全対策を地域全体で進めていく決意を述べました。

最後に、出席者による献花が行われ、追悼式典は40分ほどで終了しました。

知床半島沖で観光船が沈没した事故では、20人が死亡し、今も6人の行方が分かっていません。

献花に訪れた町民(23日午前11時)

斜里町に設けられた献花台にも、朝から町民らが訪れ犠牲者に祈りを捧げました。

献花に訪れた町民(23日午前11時)

この事故をめぐっては、乗客の家族の弁護団が運航会社「知床遊覧船」と桂田精一社長に対し、損害賠償を求めて提訴することを明らかにしていて、早ければ5月下旬にも札幌地裁に訴えを起こすとしています。

桂田精一社長の姿はなし

なお、追悼式に姿を見せなかった桂田社長からは、HBCの記者に次のようなコメントが届きました。

「残念ですが、お話しできる事は告発を受けてる身なのでありませんよ」

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