中国人の訪米観光回復は早くて2年後か、景気鈍化やコスト高で

Aishwarya Jain

[22日 ロイター] - 中国人の訪米旅行需要の回復が遅れている。新型コロナウイルス感染のパンデミック(世界的大流行)前に見られた旺盛な滞在消費を望む米旅行業界は、その復活までに少なくとも今後2年間は待つ必要がありそうだ。足かせになっているのは中国経済の成長鈍化と高い経費だ。

アナリストらは、地政学的緊張の高まりに加え、米中間の航空運賃の値上がりや運航便数がパンデミック前を下回ったままであることを要因に挙げる。

米商務省旅行観光局(NTTO)の見通しでは、中国人の訪米観光需要がパンデミック前の水準を超えるのは2026年という。

米ホテル業者は、過熱状態にあった国内旅行がインフレの長期化により落ち着く中、中国人観光旅行の回復が想定より遅れることで、収益が一段と圧迫される可能性がある。約2万人が加盟する「アジア系米国人ホテルオーナー協会」(AAHOA)はロイターの取材に「外国人の訪米観光で生計を立てている従業員や関連する労働者は既に失業したり家計が逼迫したりしている」と述べている。

中国政府は23年1月以降、旅行関連規制を徐々に解除し、8月に団体規制を撤廃した。こうした結果、中国人の訪米客数は110万人近くに回復したものの、NTTOのデータによればパンデミック前の19年の水準よりも依然60%低い水準にとどまっている。

主な要因は、中国経済が依然として先行き不透明で中国人が節約を優先し、旅行先として国内や近隣諸国を選ぶことにある。NTTOによると、19年の中国人観光客の米国内での消費支出は計150億ドルにも及び、他のどの国の観光客よりも多かった。

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