【虎に翼】「ルッキズム」に「同調空気」「ボーイズクラブ」 現在を連想させるとネットで話題に

「虎に翼」主演の伊藤沙莉

23日放送されたNHK連続テレビ小説「虎に翼」は、主人公の法学生・寅子(伊藤沙莉)の学友で夫と3人の息子がいる梅子(平岩紙)を巡るエピソードなどが描かれた。

授業のケーススタディーで、資産家の飼い犬に襲われ顔に傷を負った未婚女性について、両親が受け取った慰謝料の額が問われた。特別講師の大庭(飯田基祐)が示した判例は超破格の1500円。被害者には「町一番の美人」との評判もあった。

「損害賠償は被害者を救済し傷を癒やす」と語る大庭に感心する寅子だったが、「うちの家内なら300円がいいところだがな」「結婚前の婦女にとって容姿というのは何より大事」との発言に接して一変。大庭は梅子の夫だった。とりわけ容姿発言には寅子ら女子学生が次々と異を唱えた。

X(旧ツイッター)の視聴者投稿では、大庭に対し「身内下げとルッキズム」と指摘も。満場で梅子をくさした際、男子学生から批判や反論は聞かれず、笑いが漂った。といえば思い起こされるのは3年前、女性に関する森喜朗元首相の「わきまえる」発言にその場で注意や反論がなく、会合の出席者にも批判の目が注がれたこと。こうした「同調空気」や「ルッキズム」はドラマの時代から90年後の現在も続いている。

さらに、学生たちのハイキングで寅子が集合場所に着くと、男子が輪をなして笑っていた。その場に近寄れない女学生崔香淑(ハ・ヨンス)いわく「破廉恥な話」。恋バナが暴走し、寅子らに敬意を示していた花岡(岩田剛典)までもが、「女ってのは優しくするとつけあがるんだ。立場をわきまえさせないと」。唯一、轟(戸塚純貴)が批判の声を上げたが、「ホモソーシャル」「ボーイズクラブ」と現在も問われる均質な男社会の一面が浮き彫りになった。

X投稿には「真正面から分かりやすくルッキズム批判とホモソーシャル批判を徹底してやってるね」「ボーイズクラブな学生たちに既視感」などなど、男目線に関する話題がてんこ盛りの放送回だったとの受け止めが少なくなかった。

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